第13章 バレンタイン番外編 稲荷崎 北信介
北side
『今日‥バレンタインなので‥』
「有難う‥でもバレンタインのチョコは部活終わった時にもらったけど‥?」
『あれは‥みんなが食べたいって言ってくれたから‥日頃のお礼も込めて作ったもので‥北さんには‥その‥特別というか‥』
「そうか‥特別‥か‥それは嬉しいな。有難う。」
ゆっくりとリボンを解くと
小さな白い狐の刺繍がワンポイントでついた
シンプルな手袋がでてきた
『これ静電気防止の手袋なんです!白い狐もついてるし‥北さんにぴったりだと思って!!大事な手を守ってくれるといいなぁって!』
少し興奮した様子で机の上に手をついてこっちに乗り出してくる
「静電気防止か‥それはええな‥狐も可愛いし‥何より花澄が選んでくれたんが嬉しいわ。ほんまにありがとう」
『〜っ!』
無邪気にニコニコしてる顔が可愛いから
ちょっと意地悪したなって
触れるだけのキスをするとあっという間にまた顔が真っ赤になった
「ありがとう。大切にする。」
『気に入ってもらえて良かったです!』
「あれ‥なんか落ちたな?」
包み紙を持ち上げるとひらりと何かが床に落ちる
拾って見てみると綺麗な花柄の封筒に綺麗な文字で
北さんへって書いてあった
『恥ずかしいので‥1人になってから読んでください‥』
「恥ずかしいんか‥それやったら今読みたなるな‥」
封を開けると慌てて両手を伸ばしてくるから立ち上がって後ろ向きながら手紙を読む
小学生の頃から習字を習っとった花澄の文字は綺麗で
まるで心の綺麗さが表れてるようやった
「‥ありがとうな‥俺は幸せもんやな‥」
『っ‥1人の時に読んでくださいって言ったのにぃ‥』
普段中々恥ずかしがって言うてくれへんような事が書かれてあって
思わず華奢な身体を抱き締める
「花澄の手作りを他の男が食べるんはなんか嫌やったけど‥こんな手紙もらえるんやったらバレンタインデーもええな‥」
治や侑が花澄に惚れてんのは見てたら誰でも分かるし
バレー部の殆どが花澄の事狙ってるんは
付き合いだした事を尾白に報告した時にこっそり教えてもろた
まさか俺がってびっくりされたっけ