第13章 バレンタイン番外編 稲荷崎 北信介
北side
『今日は北さんのおばあちゃんいないんですか?』
ひんやりと冷えとる小さな手を握って
俺のポケットへといれる
「うん‥今日はご先祖さんの墓参りに行くんやて。美味しいご飯でも食べて帰ってくるって言うとったわ」
『また会いたいな〜!!北さんのおばあちゃん大好き』
背の低い花澄が
俺を見上げて満面の笑みで見上げてくるから心臓がドキッとしてつい目を逸らす
「‥何回見てもその笑顔はあかん」
『えっ?何て言いました‥?』
きょとんと大きな目を開けて首を傾げる姿も可愛くて目を閉じる
心臓がドキドキとしていますぐに抱き締めたくなる
俺は花澄とおったら自分が自分じゃないみたいや‥
『お邪魔します!』
「どうぞ‥とりあえずお茶淹れてくるからゆっくりしとき」
行儀良くぺこりと玄関で頭を下げる花澄の頭を優しく撫でて
お湯を沸かしにいく
『私もお手伝いしてもいいですか?』
棚から茶葉を取り出すと
キッチンの入り口からひょこっと顔を出す
「ええよ‥おいで」
『わーい!ありがとうございます!』
そんな可愛い顔するからつい顔がまた綻んでしまう
花澄もまたおばあちゃんっ子で
家でよう手伝っとったみたいやから
慣れた手つきで急須に茶葉を入れていく
俺らとは違う綺麗な細くて長い指が急須の蓋をおさえて
ゆっくりとお茶を注ぐ
その動作すら綺麗でついじっと見つめてしまう
『き‥北さん‥そんなに見つめられたら私‥照れます』
気付いたら真っ赤に染まる耳
「ごめん。つい見惚れてしまったわ」
『っ‥北さんのそういうところ‥ずるいです‥』
もっと顔が真っ赤に染まって下を向く花澄
「何でか分からんけど、照れてる花澄も可愛いからええな」
優しく頭を撫でて
淹れてもらったばっかりの熱いお茶が入った湯呑みと
急須をお盆に入れて部屋まで運ぶ
テーブルを挟んで2人でゆっくりとお茶をのむ
『北さん‥あの‥これ‥』
「ん‥?プレゼント‥か?」
にこにこと笑いながら可愛い包装紙に包まれた何かを手渡される