第13章 バレンタイン番外編 稲荷崎 北信介
北side
午前練習を終えて着替える為に部室に歩いて行きよると
急に花澄の話題が聞こえてきてぴたりと足を止める
「あ〜バレー部はええなぁ〜!あの白鷺さんがマネージャーなだけでも死ぬ程羨ましいのにバレンタインは手作りチョコもらえんねんて!」
「ほんまずるいよな〜!俺らも欲しいわ‥あんな可愛いのに料理もめっちゃうまいらしいで‥」
「それで優しくてあのスタイルの良さやろ?白鷺さんと付き合える奴とか人生の勝ち組やん‥どうせ宮兄弟のどっちかと付き合うんやろな‥あいつらイケメンやし‥」
また花澄の話題か‥
止めていた足を動かして更衣室へと向かう
俺の彼女は学校一の人気者やった
マネージャーとして入部してきた時は
えらい綺麗な子が入ってきたなぁと思たけど
それ以上はその時は何も思わんかった
マネージャーしたいって女の子は今まで何人もおったけど
全国目指してる俺らの練習内容のハードさについてくれる子がおらんかったから
いつかやめるやろなくらいにしか思わんかった
それでも毎日ハードな練習のサポートを完璧にこなしてくれて
部室や練習道具のサポートも毎日かかさんとやってくれた
黙々と2人で掃除をした事もある
会話はせんくても
何か心地良くて
心があったかくなった
気付けば惹かれていって
初めて
どうしても欲しいと思った
ばぁちゃんに相談したら嬉しそうな顔して
「ちゃんと信ちゃんの気持ちをまっすぐ伝えたらいいんよ」
2人の結婚式が楽しみやわって笑っとった
まぁでも花澄が告白されてんのは何回も目撃した事があるし
モテてるのはこんな俺でもしっとったから
自分の気持ち伝えるだけでもええかと思って告白したけど
顔赤くして
私も北さんの事が好きですって言われた時は思わず泣いてしまいそうやった
そんな昔のことを考えながら校門に歩いていくと
寒そうに縮こまる花澄の姿がみえた
カバンの中に手を伸ばしてマフラーを取り出して
後ろからふわっと巻いてやると
嬉しそうにこっちを振り返る
真っ白な肌が寒そうに赤く染まっとって可愛かった