第12章 黒尾✖️研磨 おさななじみ
『そんな事いきなり言われてもっ‥』
強く迫られてたじろいでいると玄関の扉をバーンと開く音が聞こえる
「花澄ー!兄ちゃん帰ったぞー!って‥研磨と鉄朗も来てんのかー?!」
『「「〜っ?!」」』
今日は残業で遅くなるって言ってたお兄ちゃんの元気な声が響いてびくりとする
ダンダンと階段を上がってくる音にどうしたらいいか戸惑っていると脱いだお洋服を3人分纏めてベッドの中にしまい込んで
私達3人ごとお布団で隠すようにして鉄朗がベッドの中に潜り込む
『鉄朗‥』
「しー‥寝たふりで乗り切れる‥」
鉄朗が人差し指を口に当てて静かにそう言うと部屋の扉がバーンと勢いよく開いた音がする
「おーい‥って3人で寝てんのかよ?!どこまで仲良しな幼馴染だよっ?!俺も入れてくれよ!!せっかく花澄の為に仕事死ぬ気で終わらせてきたっつーのに‥‥寂しいじゃん‥‥‥ビールでも飲むか‥」
パタリとお部屋から出ていく気配がして3人でぷっと吹き出す
「はぁ〜‥花澄の兄ちゃんのシスコンっぷりは変わらずだな‥」
冷静な鉄朗のおかげでなんとか取り乱さずにすんだ
布団の中で何も身につけていない私は内心心臓が止まってしまうんじゃないかと思うくらいにドキドキしていたから
『はぁ〜!ほんとにびっくりしたっ‥』
「ほんとだよ‥こんな事ある‥?」
3人で目を合わせるとなんだかおもしろくなってきて
また吹き出してしまう
「まぁ‥花澄がどっちを選ぶかは置いといて‥もう少ししたら兄ちゃんの相手しにいくか!」
「そうだね‥せっかく俺達の為に早く終わらせてくれたみたいだしね‥」
「俺達のためっつーか花澄の為だけどね?!」
研磨と鉄朗が言い合う姿を見てくすりと笑う
「呑気に笑ってるけど、どっちか選ぶまで毎日相手してもらうからね?」
『えっ?!』
「冗談に決まってるでしょ‥服着るよ」
「冗談に決まってるかどうかは俺が決めるんですー!」
「はいはい‥クロも服着てよね‥」
『‥やっぱりどっちかを選ぶなんてできないよ‥』
幼馴染な私達
この関係を壊すのは怖くて私には答えが出せなかった