第1章 月島蛍 ずっと欲しかったもの
月島side
『明日お祭り楽しみだねっ!月島君も浴衣着てくれるんだよね?』
手を繋ぎながら嬉しそうに話しかけてくる
「先輩が言うなら着ますけど‥僕の浴衣姿なんかみたいですか?」
『みたいよっ!!だって絶対月島君浴衣似合うと思う!!楽しみだな〜!』
「僕は先輩の浴衣姿見るのが楽しみですけどね。明日は迎えに行くんで待っててくださいね」
『えっ!!お迎えきてくれるの?!有難う〜!!』
僕が迎えにくると聞いてぴょんぴょん跳ねて喜んでいる
迎えに行く理由はただ一つ
ただでさえ少し目を離すだけでナンパされるような人だから、浴衣姿なんてヤバいに決まってる
まぁ‥すこしでも早く会いたいって言う気持ちもあるけど
当たり前だけど僕たちは毎日部活があるし、デートって言ってもまだ数える程で2人きりになれる事が殆どなかったから実はすっげー楽しみにしてたりする
無意識にギュッと手を握る
『月島君‥??じゃあまた明日ね?お迎え宜しくお願いします』
気付いたらあっという間に先輩の家の最寄駅に着いてしまった
あぁ‥まだこの手を離したくないな‥
「じゃあ‥また明日‥気をつけて帰ってくださいね?ちゃんと家着いたら連絡下さいよ?」
『うんっ!!ちゃんと気をつけて帰るし連絡もするね!!』
パッと手を離すと暫くして電車の扉が閉まる
そして僕が見えなくなるまでずっと両手を振ってくれているのが見える
はぁ‥今日も可愛い
ため息をついて首にかけていたヘッドフォンを耳につける
明日こそ‥キス‥出来るかな?
ブブブブッと携帯のバイブ音がなって携帯を取り出すと先輩からのメールだった
『月島君、今日も一日お疲れ様!私はちゃんとお家についたよ!月島君とのお祭り楽しみすぎて寝れるか心配!!』
僕とお祭りに行くのをそんなに楽しみにしてくれてるだなんて
電車で1人なのについ顔が緩んでしまう
僕ばっかりが先輩の事好きなんじゃないかってよく不安になるけれど
これは少し自惚れてもいいよね?
「先輩もお疲れ様でした。あとおかえりなさい。僕も楽しみにしてます。でもちゃんと寝ないと倒れますよ?」
他の人とのメールは面倒でなかなか返信する気にならないけど
先輩とのメールはいくらだってしていたいと思う
最寄駅について歩きながら明日の事を考える
「明日‥楽しみだな」
