第10章 天童覚 手に入れたくて
天童君が最後に何か言うと
彼は悔しそうな顔をして睨みつけていた
そんな様子も気にしてないような素振りで天童君はいつものように鼻歌を歌いながら私の手をギュッと握ったままスタスタと歩き出す
『まっ‥待って‥天童くんっ‥』
「ん〜?どうしたぁ?」
『そのっ‥私のせいで‥天童君が傷付くようなことになってごめんなさいっ‥』
バッと頭を下げると私の顔を見て少し考えたあと
また歩き出す
「まぁ‥うん‥その話は家に着いてからにしよっか?」
ニッと笑った天童君の顔は
怒っているのか
本当に笑っているのか表情が読めなかった
「お邪魔しま〜す♪」
『わぁっ?!天童君っ‥お‥おもいよっ?!』
私のお家に着いて靴を脱いだ途端にひょいっと抱き抱えられてスタスタとそのままお部屋まで連れて行かれる
ぽんっとベッドの上に置かれると
すぐに上から天童君が覆い被さる
『おこってる‥よね?』
おそるおそる顔を見上げると相変わらず表情の読めないニヤリと細めた目で見つめられる
「怒ってる‥かな」
『そうだよねっ‥天童君にあんなこと‥私がちゃんとしてれば‥』
「あいつの言った事にじゃないよ?俺はずーっと怒ってる」
顎を掴まれてどんどんと天童君の顔が間近に迫ってきて心臓がドキドキと音を立てる
ゆっくりと絡められる長い指先
「なんで‥あいつの告白OKしちゃったの?」
耳元で喋られてぴくんと身体が揺れてしまう
『んっ‥それは‥断っても何回も告白してくれるから‥真面目で良い人なのかなって‥断るのも申し訳なくなっちゃった‥から‥』
「そのせいで一体俺がどんな気持ちでいたと思ってんのよ」
絡んだ指先がギュッと握られて恋人繋ぎのようになる
「で‥さっきは俺の事好きって言ってたけど‥あれは本当?」
至近距離で見つめられて
息をするのも忘れそう
『っ‥私‥天童君の事ずっと大切なお友達だって思ってたの‥それが‥触れられる度にドキドキして‥本当は天童君の事好きなんだって気付いた‥の』
「気付くのおせーっての‥」
『っ‥!』
真剣な視線に捉えられたまま
またゆっくりと天童君の唇が重なる