第10章 天童覚 手に入れたくて
天童side
「は?つーか離せよっ‥いってぇな‥」
花澄ちゃんの手首を掴むそいつの手首をギリギリと片手で掴む
「花澄ちゃんの手離すまで離せないな〜」
「っ‥たいな‥妖怪のくせに‥昔そうやって呼ばれてたんだろ?」
あーでたでた‥言い返す気にもならなくてため息をこぼすとさっきまで俺の後ろで縮こまっていた花澄ちゃんが前に出る
『天童君はっ‥バレーのセンスがあるすごい人なのっ‥努力もプレーも知らないのに‥私の大切な人にそんなこと言わないでっ‥』
身体は震えてるくせに
俺の為にそんな一生懸命になってくれちゃって‥
「あ〜‥やっぱり花澄ちゃんは俺のモノにするわ」
へらっと笑うとそいつがまた俺の事をキツく睨みつける
「だから‥俺のモノだって言ってんだろ‥」
「無理矢理したくせに?合意のないセックスは強姦とおんなじだよ?」
「っ‥」
そいつが少し怯んだ隙に掴まれていた手首を外して花澄ちゃんを引き寄せて腕の中に収める
「そんなに諦められないなら選んでもらえばいーよね?花澄ちゃんは‥俺とこいつ‥どっちがいい‥?」
少しの間沈黙が流れた後に小さな声で振り絞るように話し出す
『っ‥私は‥‥天童君がいい‥です‥せっかく私の事好きになってくれたのにごめんなさいっ‥』
選んでもらえる確信はあったけど
内心ドキドキしてたからこの言葉を聞いてホッとした
「と言う事で‥花澄ちゃんは俺の彼女だから」
じゃあね〜と花澄ちゃんの肩を抱いて歩き出す
「待てよっ‥そんなん納得できるわけ‥」
伸ばしてくる手をガッと掴んで見下すように睨みつける
「しつこい男は嫌われるよ〜?それにしても‥花澄ちゃんの気持ちよさそうな顔‥可愛かったな〜」
花澄ちゃんには聞こえないようにそいつの耳元でこそっと囁くと
嫉妬と絶望に歪んだ顔で俺の事を見上げてくる
これこれ‥
この顔がたまんないんだよねぇ
「次もまた俺の彼女に手出そうとしたら‥その時は覚悟しててね?」
「っ‥」
悔しそうに拳を握りしめたままそいつは帰って行った