第10章 天童覚 手に入れたくて
『ご‥ごめんねっ‥おもいよね‥』
狭い教壇の中
床に座り込む天童君の上に座って
後ろから抱きしめられるようにして身を隠す
「しっ‥」
天童君の右手が私の口を覆うように塞がれる
「やっぱり‥誰もいないよな‥」
ガラガラと勢いよく扉が開いて心臓がドキドキと音を立てる
背中に感じる天童君の熱に
唇に直接触れる大きな掌に
意識すればするほどにドキドキとして周りの音が聞こえなくなるくらいだった
これ以上触れてたら‥
ドキドキしてるのがバレちゃいそう‥
ギュッと目を瞑って彼が遠ざかるのを待つ
『〜っ?!』
突然私の口を塞いでいた右手で顎を掴まれてうしろをむかされると
そのまま天童君の唇が重なって息を呑む
「しずかにしててね‥」
目を細めてにやりと笑う天童君がかっこよくてなぜかお腹の奥がキュンとする
こんな天童君見た事ないよ‥
私の顎を掴んでくちゅりくちゅりと何度も角度を変えて天童君の舌が口内に入ってくる
その間もじっとあの瞳に見つめられて心臓が口から出ちゃうんじゃないかと思うくらいにドキドキする
『んっ‥はぁ‥』
「え‥ろい顔‥」
少し乱れた赤い髪を掻き上げながら
また天童君がニヤリと微笑む
恥ずかしいのに
見つかったらまた昨日みたいに‥と怖い気持ちもあるのに
天童君のキスを待っている自分にハッとする
『もしかして私‥天童君のこと‥好き‥なの?』
頭の中だけで考えていたつもりなのに
つい小さく呟いてしまっていた言葉は天童君にも聞こえてしまっていたみたいだった
「じゃあ‥俺の事だけみててよ?」
ピシャリとドアが閉められる音がすると天童君が教壇の外に身体を出して私の身体をくるっと反転させる
床に座る天童君の上に跨るようにして向き合う姿に体温がさらに上昇して目を逸らす
「みてて‥って言ったでしょ?」
逸らした顔を両手で掴まれて
戸惑う私の唇にまたぬるりと天童君の舌が捩じ込まれる
『はっ‥ぁっ‥』
絡み合う舌が気持ちがよくて頭が痺れているようだった
「キスしたらこーんな可愛い顔になるんだね〜」