第10章 天童覚 手に入れたくて
天童side
ふと前を見ると下を向いてノートをとる花澄ちゃんの
綺麗なうなじがちらりと見えて
俺の息子が元気になる
「俺ってほんと最低だわ〜」
その後の授業も花澄ちゃんの事を考えると胸がドキドキして何にも頭に入ってこなかった
「さてと‥教室に残ってんのは天童と白鷺だけだな!先生もテストの準備あるから終わったら鍵かけて帰るんだぞ」
「はーい」
『はいっ!ありがとうございます!』
みんなが教室から出て行って
2人だけになる
『じゃあ前言ってたとこ説明するね!ノートと書くもの出してくれる?』
「なーんか教室に2人きりっていいね〜この教壇とか立つと先生気分!」
『ふふっ‥天童君が先生だと楽しそうでいいね』
俺の冗談に付き合って教壇の横に並ぶ花澄ちゃんの手をそっと掴む
「昨日‥何があったの?」
ビクッと揺れる小さな身体
『な‥なんでもないよっ‥心配しないで大丈夫だからっ』
俺の事を見上げながらぎこちない笑顔を作る花澄ちゃんを正面からギュッと抱きしめる
「俺じゃ頼りにならない‥?」
『て‥天童くん‥誰かきたら‥』
俺の腕にすっぽりと収まる小さな身体がどんどんと熱を持つのが分かる
「花澄ちゃんの心臓‥ドキドキしてる」
『っ‥!言わない‥で‥』
かぁっと赤くなった顔
まーた耳まで真っ赤に染めちゃって
そんなに可愛い顔すると俺
我慢できなくなっちゃうよ?
『まっ‥て‥天童くん‥?』
小さな可愛い唇にどんどんと顔を近づけていくと
大きな熱を持った瞳に見つめられてドキリとする
「待たない‥」
さらに顔を近付けると花澄ちゃんがそっと瞼を閉じる
これ‥キスしても良いって事だよね?
もう少しで唇が触れてしまいそうな距離になった時に
突然廊下の方から誰かが歩いてくる音がする
「おーい‥白鷺さん!もう帰ったー?」
『どっ‥どうしよ‥天童君と2人きりのところみられたらっ‥』
戸惑う花澄ちゃんの腕を引っ張って
咄嗟に教壇の中に2人で身を潜める