第10章 天童覚 手に入れたくて
天童side
「フッフーン‥フフーン」
部活を終えて部室から出ると
花澄ちゃんの彼氏が仁王立ちして待っていた
「天童‥今ちょっといいか?」
「よくない‥って言いたいところだけど〜若利君が出てくるまでなら」
こいつが俺に言いたい事は分かってる
わざわざ言いに来るとは思わなかったが‥
必死なんだな
「何にやついてんだよ‥ほんと何考えてんのかわかんねぇ‥」
「どういたしまして〜それで?」
「白鷺さんの事だけど‥俺と付き合ってんの知ってるよな?俺の彼女に手出さないでもらっていい?」
俺を睨みつけてくるそいつのおでこをピンと弾く
「付き合ってんの知ってるよ〜でもさ花澄ちゃんが嫌がってないなら良くない?」
「よくないっ‥人のもんに手『あれっ?天童君と2人で‥どうしたの?』
着替えを終えた花澄ちゃんが後ろから声を掛けてくる
「何にもないっ‥帰ろ‥」
そう言うとそいつが花澄ちゃんの手首を掴んでさっさと歩き出してしまう
『えっ‥ちょっといたっ‥天童君また明日ねっ?』
そいつの肩の向こうからバイバイと手だけ振ってるのがみえる
「手だすなって‥だって仕方ないじゃん。好きになっちゃったんだもん」
ぽりぽりと頭を掻く
「待たせたな天童‥‥また難しい顔してどうした?」
若利君なら‥正々堂々と真正面からぶつかって
かっこよく奪ってくんだろうな〜
「んーん‥何でもないよ?強いて言うなら‥花澄ちゃんの彼氏嫉妬深そうですこーし心配」
「そう‥なのか‥」
今度は若利君が腕を組んで難しそうな顔をして考え込む
「まぁ‥近いうちに彼氏って名乗れないようにするから待っててね」
「何か分からないが、天童の事を俺は応援する」
「若利君もありがとね」
それにしても花澄ちゃんも
何であんな奴と付き合ったんだろ
まぁ優しすぎる花澄ちゃんの事だから大体想像はつくけどね〜?
それなら尚更
無理言ってでも俺が付き合ってたら良かった
らしくもない後悔をしながら拳を握りしめる