第10章 天童覚 手に入れたくて
天童side
「ねぇねぇ花澄ちゃん‥俺ここ分かんないんだけど分かる?」
『ん〜?ここね!分かるよっ!えっとね‥』
俺の前の席に座る小さな身体をつんつんとつつくとくるりと振り返って真剣に俺のノートに目を落とす
長い髪を耳にかけてノートにさらさらと文字を書いていく
柔らかそうな髪‥
近くに寄るとふわりと良い香りがするんだよな〜
『へっ‥?!て‥天童君っ‥?』
長い髪に触れて
毛先を指先でくるくると弄ぶと花澄ちゃんの顔が赤くなっていく
「猫っ毛だね〜やわらかくてかーわいい」
触れる度に赤くなる顔が可愛くて
そのまま瞳を見つめたまま優しく頭を撫でる
『っ‥天童く‥』
「おーい!白鷺さんいる?」
「‥ちっ」
ちょうど良いところで邪魔が入って
聞こえないように舌打ちをする
『ごめんね天童君‥私行ってくるね!この問題また良かったらゆっくり一緒にしよう?』
ね?と可愛く首を傾げて小走りで彼氏の元へと行ってしまった
「また天童と絡んでたの‥?」
俺に聞こえるくらいの声のボリュームでそいつが眉を顰めたまま花澄ちゃんに話しかける
『えっ?うん!それよりどうしたの?』
「あんまあいつと絡むなよ‥何考えてるかわかんねぇし‥」
きょとんとそいつを見上げる花澄ちゃんの細い腰に手を回しながら教室から出て行ってしまった
「おー怖い怖い‥聞こえてるっつーの」
そんなことは言われ慣れてるし
別に気にしない
それでも花澄ちゃんに触れてるとこ見るのは正直気分良くないよね〜
「トイレ行こ‥」
ガタッと椅子から立ち上がって廊下へでると彼氏にまだ問い詰められてんのか花澄ちゃんが両手を掴まれまま何か話している
『天童君は私の大事なお友達なのっ‥』
「それにしても‥あんまりいい噂聞かねぇし‥やっと手に入れた彼女の事横取りされんのだけは絶対嫌だからさ‥頼む」
『っ‥でも‥んむっ‥』
「トイレトイレ〜っと‥学校の廊下でキス‥ねぇ?」
ニヤリとそいつを睨みつける