第9章 影山飛雄 可愛いのは
影山side
身長差がありすぎて気付かなかった‥
そういえばお兄さんと二人暮らししてるって言ってたよな‥
「すんませんっ!俺‥てっきり花澄さんに手を出そうとしてる人かと‥」
自分の勘違いに気付いてバッと頭を下げると上から柔らかい笑い声が降ってくる
「はははっ‥正直でいいね!名乗るのが遅くなってごめんね?花澄の兄です!いつも花澄がお世話になってます!家ではね〜飛雄君の話ばっかりしてるよ〜!」
『お兄ちゃんっ‥恥ずかしい事言っちゃやだよっ‥!』
くいくいとお兄さんの袖を引っ張って恥ずかしそうに顔を真っ赤にしている花澄さん
そんなお兄さんが俺の耳元でこそっと話してくれる
「照れてるけどさ‥バレーしてる時の事とか‥一生懸命なところとか‥キラキラした笑顔で嬉しそうにずっと話してるよ!飛雄君の事大好きみたい‥これからも仲良くしてやってね?」
さっと差し出される手を握って大きく頷く
「ありがとうございますっ!もちろんですっ‥!」
そうか‥家で俺の話‥
俺の事‥大好き‥
ふにゃりと顔から力が抜けてニヤけてしまう
「会えて良かった!俺はそろそろ仕事に戻るから‥これからも妹の事宜しくね?」
男でも一瞬惚れてしまいそうになるほどの
花澄さんによく似た満面のスマイル
「っ!!はい‥!!」
そう言うと手を振って颯爽と出て行ってしまった
『もうっ‥お兄ちゃんが突然ごめんねっ‥!』
恥ずかしそうに頬をほんのりと染めたまま花澄さんが俺の服の裾をギュッと掴む
「いえっ‥挨拶できて良かったです‥それに‥嬉しい話も聞けたし」
『あっ‥ありがとう!』
「そーいえば‥たこ焼き食いにきてくれたんスよね?」
『うんっ!!お願いします!』
さっきまで恥ずかしそうにワタワタと照れていたのに
嬉しそうに100円玉を差し出しながら俺を見上げる
マジで可愛い俺の彼女
花澄さんの為にたこ焼きを焼きだすとさっきまでのやり取りをみていた周りがザワザワと騒ぎだす