第7章 及川徹 兄妹の秘密
及川side
今日は朝から花澄が張り切って準備をしている
友達と遊びに行くんだって
いつもストレートの綺麗な髪をふんわりと巻いて
うちの母ちゃんが花澄に似合いそうだからって買ってきた白いオフショルダーのブラウスとショートパンツを履いて嬉しそうにしている
「こんなにおしゃれしてっ‥!誰に会うのっ?!及川さんを置いてこんな可愛い格好して出かけるの?!」
花澄は学校でも大人気だし女子の友達も沢山いたからてっきり女の子と遊びに行くのかとこの時の俺はまだ呑気な事を考えていた
『お買い物行くだけだからっ‥またちゃんと教えるから!』
「絶対ね?!連絡もしてよ?!心配だから!」
そう言うとニコッと笑って出かけて行った
カフェでケーキ食べたとか
水族館行ったとか
写真は送られてくるけど
友達との写真は一向に送られてこない
それどころか夕方になるとメールの返信もなくなって
電話にも出なくなった
少し胸がザワザワとして嫌な予感がしたけど
きっと俺に内緒で男と会うなんてないと思ってたから‥
風呂に入って
寝る気持ちにもなれずリビングのソファに座って花澄の帰りを待っているとようやく花澄が帰ってきた
いつもなら ただいまー!!!って子供みたいに嬉しそうに玄関開けて帰ってくるのに
なんだか様子がおかしい
ガチャリとドアが開くと小さな声が聞こえて
暫くして
そーっと扉が開く
俺の顔をみてビクッと身体を揺らす
頭を下げて謝る花澄の身体を抱きしめるとオフショルダーのブラウスでは隠し切れない首筋に赤い痕をみつける
こんなところに俺‥つけてない‥
全身から一気に血の気が引くような
それよりも血が湧き立つような
怒りと不安
一気に黒い感情が溢れて身体が覆われて行く
「待って‥今まで誰とどこで何してた?」
「友達って誰‥?」
怒りの感情が止める間もなく溢れ出て声が低くなる
『えっ‥?えっと‥』
戸惑う花澄の白い首筋に残る赤い痕に
上書きするように自分の印を残す