第7章 及川徹 兄妹の秘密
「今日は突然呼び出してごめんな?クソ川なんか言ってた?」
岩泉さんが右手をさっと差し出してくれるからおずおずと左手を差し出すときゅっと手を握ってくれる
『いえっ‥!いや‥少し‥お友達とお買い物に行くって言ったので‥付いて行くってギリギリまで言ってました』
実はちょっと前に岩泉さんが想いを伝えてくれて
それから自分の気持ちが分からなくって‥
バレーしている岩泉さんはかっこいいし
実際にみんなを纏めている副主将としての姿は素敵だった
とっても頼りになるし‥
岩泉さんといると心臓がドキドキとする事もよくあって‥
それでも今までお付き合いした事もなかったし
自分の気持ちがわからなくって
正直にその時の気持ちを伝えたらお試しでもいいから付き合ってみない?って言ってくれた
絶対好きにさせて見せるからって真剣な目で言われて
今は
彼氏彼女として過ごしている
「付いてくるって‥過保護がすげーな!」
岩泉さんが笑う
及川さんにも岩泉さんとの事を何度か言おうとしたんだけど
他の男の人の名前を口にするだけでいつも少し機嫌が悪くなるから中々言い出せずにいた
でもきっとお兄ちゃんとして応援してくれるよね?
「花澄ちゃん?ぼーっとしてどうした?」
岩泉さんの顔が目の前にあってドキッとする
『ごめんなさいっ!!なんでもないですっ!!』
「そーか?顔真っ赤にして相変わらず可愛いな!」
そう言う岩泉さんの手はあったかくって
耳が赤くなっている
岩泉さんも緊張してるのかな‥?
そう思うとなんだか胸がキュンとして好きだなって思った
『いわ‥ちゃん』
「へっ?!」
『お兄ちゃんがいっつもそう呼んでたから‥一回呼んでみたかったんです!』
えへへと笑うと急に岩泉さんが私の前に立って
両肩を掴むとそのまま顔が近付いてきて触れるだけのキスをされる
『っ!!』
顔に一気に熱が集まるのがわかって顔を両手で覆う
「岩ちゃんよりさ‥それならハジメって呼んでくんねぇ?」
そう言って私の両手をよけるともう一度キスをされる
岩泉さんの顔は私と同じくらい赤いんじゃないかと思うくらい真っ赤になっていた