第7章 及川徹 兄妹の秘密
及川side
相変わらず超がつく程の鈍感天然ちゃんはそんな周りの視線にも気付かずに心配そうな顔をして駆け寄ってくる
『まだ今から試合あるんだからねっ!これは私が持つから‥!』
「じゃあ半分こね!一緒に持てば解決っ⭐︎」
俺らの仲の良さを周りに見せつけながら体育館へと戻って行く
これは俺のモンなんだから
誰も手出さないでね?
さっきの奴らも視線で牽制しながら
『お待たせしました〜!ドリンクです!』
「まーたお前は花澄ちゃんに着いてってたのか!金魚のフンみてーな兄貴だな!」
「岩ちゃんはなんでそうすぐにうんこに結びつけるの?!花澄に悪い虫がつかないようにしてんの!」
『うんこ‥?』
「やだっ!そこだけ切り取らないでっ!」
「ほんっと‥うんこ野郎め‥」
そう言うと花澄の肩に自然に手を回してドリンクを受け取る
「いつでも俺んとこ来いよ?」
近くなる距離に花澄の顔がパッと赤くなる
「岩ちゃん!!!部活中に口説くの禁止!!俺の妹から離れてっ!」
2人の間に割って入る
「じゃあ部活中じゃなかったらいいんだな?おにーちゃん?」
にやりと笑うとドリンクを置いて歩いて行ってしまう
ほんと!どいつもこいつも!!
無意識に
無自覚に
周りの奴らを次々と惚れさせていく俺の妹
「悪い子だね〜?」
ドリンクを受け取って頭をポンポンと撫でるとまた少し首を傾げながらふにゃっとした笑顔でこちらをみる
『悪い子‥?この後も頑張ってね!』
小さな両手が差し出される
「当たり前っ!かっこいいとこみせるからちゃんとみといてよ?!」
パンっとハイタッチをして花澄を指差しながらコートへと戻って行く
分かってるのか分かってないのか
はーい!なんて可愛い声で返事しながらニコニコとこちらを見ている
そんな花澄を周りの男達も頬を緩めてみている
あーマジで!!
早く抱き潰したいっ!!
あの可愛い乱れた姿を知っているのは自分だけだと
優越感に浸りたい