第1章 恋の季節【空回り】
最悪だ!まさか土方くんと出逢うなんて…瞳孔開いてるし何か怖いし…苦手なんだよな…。
「オイ、」
『は、はい!?』
「お前…こんなとこで何してんだ」
『え、えっと…服部先生に頼まれてこの荷物Z組に置きに来たんだけど教室閉まってたから今から鍵を取りに行こうかと…』
「…んじゃ俺さっき取ってきたから、入るか?」
『え…うん!』
そう言って頷くと土方くんは私の手からスッと荷物を持って中に入っていった
も、持ってくれた…?
土方くんの後に続いて教室に入り辺りをキョロキョロと見渡す
『あの…その…』
「総悟なら部活だ」
土方くんの口から出てきた名前にドキッと心臓が跳ねた
『え、な、なんで…』
「何でって…お前総悟のこと好きなんだろ?」
自覚はあるものの改めて言われると何だか恥ずかしい
「あいつのことはガキの頃から知ってるが、女に興味はねェみてーだぜ」
『えっ…』
「少なくとも俺が見てきただけでは、告白した女は振られるかオモチャにされるか…そのどっちかだ」
土方くんの鋭い視線が私に刺さる
『お…もちゃ?』
「遊び道具ってことだ。雌豚扱いにパシリ…3日と持った女はいねェよ」
『そ、そうなんだ…』
やっぱり沖田は…誰とも付き合う気はないんだ…。
雌豚扱いも気を許すとかじゃなくて単なる遊び…。
「関わるなとまでは言わねェが…悪いことは言わねェ、総悟のことは諦めろ」
『…』
「アンタ面は悪くねェんだ…総悟にこだわらなくったってすぐに相手は見つかんだろ」
『…』
「これはお前の為でも、総悟の為でもあるんだよ」
『ッ!』
「総悟はやめと…グハッ」
言い終える前に私は彼の顎をぐーで思いっ切り殴った
「て、テメェ!いきなりなにしやがッ」
『それでも君は沖田の親友かー!!』
「…は?」
『親友ならそんな沖田のこと悪く言うな!本当に沖田を想ってるならありのままの沖田を受け止めてあげなさいよ!!』
「…」
『それが…それが親友でしょ!!』
土方くんはポカンと私を見つめ、やがて肩を震わして笑いをこらえていた
『…え?』
「…クッ…やべ…お前面白ェ…」
ど、どういうこと…?
「…総悟が手を焼くのもわかるぜ」
『え?』
「酷ェこと言って悪かったな…さっきの全部嘘だ」
え、
『う、ウソォォォォオオ!?』