第1章 恋の季節【空回り】
職員室に行き、先生の机にダンボールを置くと隣にメモが置いてあった
" ご苦労さん!あとこれもよろしく"
そのまま目線を下に向けると足元には別のダンボール箱があった
『あの…ろくでなし教師…!!』
だが、そのメモ書きの続きに"ジュース奢ってやる"と書かれていた為、渋々そのダンボール箱を教室まで運ぶことにした
『私って単純だなぁ…』
だけど教室まで運ぼうと思ったのはジュースの為だけではない。
このダンボール箱はうちのクラスにではなくZ組、そう…つまり沖田のクラスに運ぶ物だったからだ
これで沖田を待っている口実を作らなくてもいいし、先生の手伝いをしてる様子が沖田の目にとまれば好感度アップも間違いない!!
ククッと自分でも気味の悪い含み笑いをしていると、丁度渡り廊下の下から賑やかな生徒達の声が聞こえてきた
仲良さそうに話しながら校門を出ていくのはZ組の美人だけど凶暴って噂の志村妙ちゃんと可愛いけど大食いな少女神楽ちゃんだった
待てよ…ということは!
嫌な予感がした私はダンボール箱を抱えながら急いでZ組の教室まで向かった
『閉まってる…』
なんと時すでに遅しで…Z組の教室には鍵が掛かっていた
どんだけ早く帰りたいんだあの天パ教師…そして帰るの早いなZ組…。
私って本当ツイてない…。
『…沖田、もう帰ってるだろうなぁ…』
私もこれ置いたら帰ろう…。
溜息をついて鍵を取りにもう1度職員室に向かおうとした時だった
ドスッ
『ぎゃッ!』
何かにぶつかりバランスを崩した私が
倒れそうになるところを誰かによって支えられた
「大丈夫か…」
『えっ…』
も、もしかしてこれって…沖っ
しかし目を見開いた次の瞬間、目の前に映ったのは愛しの沖田ではなくて今日の昼休み、私を見下ろして立っていたあの…
「あ…お前は…」
土方くんだった
「最近総悟に付きまとってるストーカー女」
『ちょ!どんな覚え方!?』