第1章 恋の季節【空回り】
な、なんてことだ!
同学年ならまだしも他学年にまで知られてるなんて!!
『もう恥ずかし過ぎて教室から出られない!…あ、でもそうしたら沖田にも会えないッ』
「そういうことは心の中だけでやってくんない?」
「結衣、アンタが気にするのはそこじゃなくてこの告白でしょうが!」
『え、告白…』
「一目惚れって言われてるよ?どーする?」
『え、断る』
「「即答!?」」
「な、何で!?黒田君って1年の間で物凄くカッコイイって人気の男の子なんだよ?」
「勿体無いって!」
『…うん…だってさ、この手紙…ちょっとキザじゃない?一目惚れしてしまいました。ってねー…』
「いやアンタの妄想と大して変わんないわよ」
『それに私…好きな人いるもん』
「それって…Z組の沖田くん?」
頷く私にナツコは呆れたように溜息をついた
「確かに沖田くんはモテるし、カッコイイけどさ…告白した女子はみんな振られたらしいし、誰とも付き合う気がないって噂らしいよ?」
「そうそうオマケに女子はみんな雌豚扱いだし…」
『え、ハム子も雌豚扱いされたの?』
「そう…つーかハム子って呼んでる時点でアンタも豚扱いしてんじゃん」
『私のは愛情!』
「そんな愛情いらねーよ!」
でも雌豚扱いか…。
そもそも私は沖田に苗字も名前も呼ばれたことないし、彼と話す時間も少ないからそんな扱いされたことはないな…。
けど雌豚なんて呼び方…ある意味その相手に気を許してるからそう呼べるんじゃないのかな…。
「ちょっと結衣聞いてるの?」
ということは、呼ばれてない私は全然沖田に気を許されてないってこと??
それは非常にまずい!!
「ねぇ結衣ってば!」
『うん聞いてるよ!私これから頑張って沖田に雌豚扱いされるね』
「全然わかってないんだけどこの子!!」