第1章 恋の季節【空回り】
教室に帰り自分の席に座らされ、まるで2人から取り調べを受けているかのような状態になっていた
『えっと…私が沖田と話すこと以上に重大なことって何でしょうか…』
「これよ!」
そう言ってナツコが目の前に置いたのは1通の手紙だった
『…え?』
「結衣宛の手紙よ」
なんだろう…。手紙を貰う理由がわからない
「裏に名前も書いてある」
『…も、もしかしてこれ果たし状なんじゃ!?』
私の言葉に2人とも目を点にして私を見つめた
『だって最近沖田と話す度に周りの女子の視線が痛いし、ひょっとしたら沖田のファンの子に恨まれてるのかも!!ど、どうし…イダッ!』
言い終える前に教科書で頭を叩かれた
「違うわよバカ!それ…多分ラブレターよ」
『…えっ』
「さっきたまたま靴箱を通りかかったら1年の男子がこの手紙、アンタの靴箱に入れるの見ちゃったのよ」
そう言ってナツコは手紙の裏を見せた
「ほら、ここ名前…」
『黒田…洋介?』
1年生だし…全く知らない名前だ…。
「ねェ、開けてみなさいよ~ッ!」
『何でウキウキしてんの?』
ハム子に言われゆっくりと封筒を開けた
「読んでみて!」
『えっと…初めまして、1年の黒田と言います…』
- 急なお手紙ですみません。直接話したこともないのに恐れ多いですが、あなたにどうしても伝えたいことがあり手紙を書きました。
大石結衣さん、僕はあなたに一目惚れしてしまいました。その可憐な容姿と芯の強さ、そして沖田総悟さんを一途に想ってらっしゃる姿に僕の心は射抜かれてしまいました。
春は恋の季節…とも言います。あなたがまだ彼を想っていても僕はあなたの気持ちが変わるまで待っています。
少しでも僕のこと好きになってもらえる可能性があるのなら今日放課後屋上に来てください。
良いお返事を待っています。
1ーB 黒田 洋介
「きゃあああ!やっぱり告白じゃない!」
「やるじゃん結衣」
『…ちょっと待って…これ…この人…』
『私が沖田好きなのバレてんですけど!!!!』
「「いやそこなの!?」」