第4章 占いは信じなくても当たる時は当たる・後沖田視点【星の砂⭐︎】
夜10時をまわった時計を見つめながら自室の布団に寝転がる
「とは言っても、ただ"待つ'"だけじゃダメだよな…」
土方さんたちの話じゃ主犯格の男の供述も曖昧な内容だったみてェだし…こっちから関係者全員を絞り出して吐かせるしかねェよな。
そんなことを考えていると、自然と瞼が重くなっていく
「まぁいずれにしても明日だな…今日はもう寝よ」
1つ欠伸をして目を閉じようとしたその時、突然部屋の襖を叩く音がして慌てて身体を起こすと開いた襖の隙間から顔を覗かせる人物が1人。
「…何してんでィお前」
『こ、こんばんは』
中途半端に開かれた襖を勢いよく開けると枕を両手に抱えた大石が困ったように笑い、俺を見上げた
「もうすぐ11時だぜィ、ガキは早く寝な」
『えっと…1人だと眠れなくて…』
「…。」
『そーくん…と一緒に寝ても…いい?』
大石の言葉にスパンッと勢いよく襖を閉めた
『ええええ!?やだ、そ、そーくん!閉めないでよ!』
「煩ェ、そういうことは近藤さんに頼みやがれ」
襖を開けようとする大石に対し開かないよう逆に押さえる俺
『言ったもん!そしたら総悟なら優しいから一緒に寝てくれるよって…』
近藤さん…何テキトーなこと言ってくれてんでィ!
「じゃあ土方は!」
『追い出された!』
まぁ…普通はそうだろィ。
『山崎さんは何か"俺の部屋は使ってくれていいからって言って部屋からいなくなっちゃった…そんなの意味無いよ』
「犯罪者になりたくなかったんだろィ…多分」
しばらくすると大石は襖から手を離し、ポツポツと何かを呟いた
『私…今までずっと母上と一緒に寝てたの。父上はお仕事で夜遅くまで帰って来なかったから…』
「…。」
『でも母上が病気になってからは一緒に寝たらダメだって言われて…それからはずっと部屋で一人ぼっち。だからね、最初にここの人達が優しくしてくれた時…私嬉しかったんだ』
「…。」
『みんな男の人だけど…色んな人がいて…
父上も母上もいないのに、私…ここが楽しいんだ!』
あぁ、そうか…
こんな小さい時から
大石はずっと…居場所を探してたんだ。
そっと襖を開けると座り込んだ大石が驚いて振り向いた
見開かれたその目は赤く腫れ、愛しい想いを溢れさせるには十分だった