第4章 占いは信じなくても当たる時は当たる・後沖田視点【星の砂⭐︎】
『ただいま!!』
「あ、結衣ちゃん!おかえり〜」
屯所に戻ると迎えてくれた近藤さんに大石は勢いよく飛びついた
「どうだった、街は楽しかったかい?」
『うん!みたらしが美味しかった!』
「そうかそうか!それは良かったね~。それじゃ、たくさん歩き回って汗も掻いたろ?風呂に入って来なさい」
近藤さんの言葉に頷き、小走りで浴室へ駆けて行く大石を見つめる
「総悟も、お疲れさん」
「…参りましたよ、子守りは苦手でさァ」
言いながら溜息をつく俺に近藤さんは苦笑いを浮かべる
「お前と外を歩く方が1番隊として仕事をしていたことも思い出しやすくなると思ったんだがな…」
「それはそうかもしれやせんけど…」
「それで…結衣は何か思い出したのか?」
煙草を噴かしながら土方さんがこちらにやって来た
「いえ…それどころか覚えてないことの方が増えてく一方でさァ」
俯く俺に近藤さんも土方さんもそれ以上何かを言うことはなかった
このまま一生戻らないかもなんて考えたくもねェ…。
それこそアイツが1番…辛いに決まってる。
「総悟…もしこのまま結衣ちゃんが元に戻らなければ彼女は…」
近藤さんが何かを言いかけた次の瞬間、突然浴室から大きな破裂音が響いた
「きょ、局長おおお!大変です!!」
言いながら慌ててこちらに走ってくる山崎の姿は何故か全身泡まみれになっていた
「どうした山崎!?」
「結衣ちゃんが浴槽のお湯を溢れさせて浴室全体水浸し状態です!!アダッ目に泡がァァァ!!」
急いで浴室へ向かう近藤さんと山崎を見つめ溜息をつくと隣にいた土方さんも同じように眉間に皺を寄せていた
「…まぁ当分気長に見るしかねェな」
「…そうですねィ」
ガキになろうがなるまいが、アイツがいると屯所が騒がしくなるのには変わりない。
だから大石、もう少しだけ待っててやらァ。