第4章 占いは信じなくても当たる時は当たる・後沖田視点【星の砂⭐︎】
それからしばらくして戻ってきた大石の格好に俺は思わず目を見開いた
『見てお兄ちゃん!』
言いながら嬉しそうにその場でくるっと回る大石
「その着物…どうしたんでィ。買ったのか?」
「いえ、作ったんです!
ほら、沖田隊長が小さい時に着ていた着物で…グハッ!」
「何でよりにもよって俺の着物でィ、つかあの短時間で作ったのコレ…ありえなくね?」
刀の柄を野郎の頬に押し付けながら大石を指差す
「い、いやぁ沖田隊長の子供の時のサイズなら今の結衣ちゃんにほぼピッタリなんじゃないかなと思って…」
"どう?結衣ちゃん"と大石に目を向ける山崎につられて俺も彼女の方に目を向けた
『うん!お兄ちゃんの服、私にピッタリだよ!』
「そっか!それは良かった」
言いながら山崎は再び大石と同じ目線まで腰を下ろした
「けどごめんね、本当はもっと女の子らしい可愛い着物があれば良かったんだけど…ここ(屯所)には無くて…」
そう言って眉を下げる山崎に大石は野郎の手を取り優しく微笑んだ
『私のために一生懸命作ってくれたことが何より嬉しい…!ありがとう、ジミーさん!』
「結衣ちゃん…
俺の名前ジミーじゃなくて山崎だからね。……でも可愛い」
「オイ、心の声も漏れてるぜィ」
大石はそのままくるっと俺の方を向くと少し勢いをつけ、笑顔で飛びついてきた
『早くお散歩に行こうお兄ちゃん!!』
「…、ぉぅ」
嬉しそうに笑う大石から顔を逸らすと山崎が「そうだ!」と言って懐から何かを取り出した
「はいコレ、結衣ちゃん!…昨日の夜、食堂に落ちてたから拾っておいたんだ」
そう言った山崎から手渡されたモノを大石は目を丸くして見つめた
『…これ、私の?』
「え…うん、結衣ちゃんがいつも大切にしてる星の砂だよ」
『星の砂…?』
首を傾げる大石に俺と山崎はただ黙って顔を見合わせた
「えっと…それじゃあ気をつけてね、結衣ちゃん」
『はーい!』
山崎の言葉に元気よく返事をして俺の腕を掴み先々歩く大石
「…。」
- この星の砂は平河隊長から貰った大切な宝物です! -
宝物…なんだろィ。