第4章 占いは信じなくても当たる時は当たる・後沖田視点【星の砂⭐︎】
数分後、屯所に着き車から降りる俺に山崎が少し慌てた様子で言った
「すみません隊長。俺ちょっとこの後別の任務が入ったんでこの強盗犯の事情聴取、先に始めといてもらってもいいですか?」
「はぁ?何でィ別の任務って…」
「実は以前から目をつけてたホシに動きがあったんです。…副長にすぐに報告するよう言われてるので…」
山崎の言葉にあからさまに顔を顰める俺に野郎はひたすら苦笑いを浮かべる
「す、すぐ戻りますから…あ!それと結衣ちゃんのことなら心配しなくても大丈夫ですよきっと!」
「寝る」
「えええ!?事情聴取は!?」
最後の方の山崎の言葉に無性にイラッとした俺は、後ろで何か叫ぶ野郎を無視してそのまま屯所の中に入った
自室に向かう途中、ふと先程の山崎の言葉を思い出し通りがかった大石の部屋の前で足を止めた
開きっぱなしの襖と急いで出てったことが伺える部屋の中の様子に相変わらずだなと溜息をついた
- 以前から目をつけてたホシに動きがあったんです! -
「…任務ねェ」
ま、アイツのことだから土方さんに何も聞かされぬままホシの逮捕目的に連れ回されてんだろうな。
土方さんの荒運転に泣き叫ぶ大石の姿が目に浮かび、そんな彼女を不憫に思いながら俺は再び自室へと足を進めた
部屋に入り、そのまま横になってしばらく天井をぼーっと見つめる
- 結衣ちゃんなら心配しなくても大丈夫ですよ -
「…心配してねェっての」
ボソッと独り言を呟いて目線を先程山崎に買いに行かせた団子の入った袋に移す
…せっかく休憩時間にでも食わせてやろうと思ったのに
「メール返って来ねーし…」
自然と口から出た自身の言葉に内心驚き、急いで開いた携帯を閉じた
「アホらし…あとで"やっぱ嘘だ"つってメールしよ」
横になったまま懐に入れたアイマスクを装着し、俺はそっと目を閉じた
寝不足や天気が良いせいもあって眠気は比較的すぐに訪れたが、閉じた瞼の奥には何度も何度もいつもの無邪気な顔で笑う大石の姿が映った
まるで、この先アイツの姿がもう二度と見れないのではないかと言うように。