第3章 占いは信じなくても当たる時は当たる・前 【星の砂⭐︎】
[オイ結衣!聴こえるか!!]
突然手に持っていた無線が反応し、同時に副長の焦る声が聞こえてきた
『副長、どうかしたんですか?』
[8番倉庫で主犯の男を見つけた!…今追ってるが、足が速ェうえに妙な箱を抱えてやがる!…例の薬物かもしれねェ!]
『え!?』
[奴が向かってるのは恐らく1番倉庫の方だ!もうじきお前の方に現れる、野郎が来たら俺とお前で挟み撃ちにするぞ!いいな!? ]
ちょ、いいなって言われても…!
副長からの無線が途切れ、私はそのまま8番倉庫の方へ身体を向けた
挟み撃ちって…一体どうすれば…。
次の瞬間、私の目に映ったのは何かの箱を抱えながらこちらに走って来る男とその人物を追いかけ同じくこちらに走って来る…
副長の姿だった
『き、来たぁあ!!』
「結衣!そいつだ、捕まえろ!!」
『はっ…は、はい!!』
そ、そうだ!怯えてる場合じゃない!
副長達が待ちに待ってようやく掴んだこのチャンスを私のせいで逃す訳にはいかない!!
「どけぇええ!!」
『ッ!』
刀を振り回しながらこちらに走ってくる男を睨みながら私は腰の刀に手を添え、奴が近づくのを待った
『!』
ふと、男が手に抱える大きな箱に視線を移す
あの箱は…副長の言う通りやはり例の薬物なんだろうか。
例の薬物っていえば…
- 微量でも摂取するだけで忽ち死に至る… -
『…死…、』
副長の言葉を思い出し、額に嫌な汗を掻く
- 今日はあなたの人生で最も悪い1日となりまーす!-
最も悪い…1日。
今朝の結野アナの占いが頭を過り、私は徐々に自身の顔が青ざめていくのを感じた
だ、大丈夫大丈夫!まだ危険なモノって決まった訳じゃないし…!
それに、摂取しなければ死なないって副長も言ってたし…ね!!
大丈夫…
「どけぇええ!女ぁあ!!」
摂取…
『…。』
しなければ…。
「うおりゃああ!!」
『や、やっぱりまだ死にたくないいい!!』
次の瞬間、私は犯人が来る方とは真逆の方向に向かって全力でダッシュした