第3章 占いは信じなくても当たる時は当たる・前 【星の砂⭐︎】
その後、1番倉庫への道を歩きながら私は先程副長に言われた言葉を思い出した
- 気をつけろよ -
『…いやだったらわざわざ乗り込まなくてもよくない!?』
…確かに大人数だと敵に気付かれる可能性があるし、敵を油断させる為にも土方さんのこの作戦は間違ってはいないと思う。
けど敵の居場所を把握してるのならわざわざこっちから行かなくてもあっちから出てくるのを待てばいいのに…。
副長の考えに納得がいかず、不満を漏らしているといつの間にか大きく"1番"と書かれた倉庫前に着いていた
…あれ、意外と近かったのかな?
ゆっくりと倉庫に近づき、扉に手をかけ息を呑む
どうしよう、もしこの中に売人がいたら…。
薬持ってるって言ってたし…もしその薬とか飲まされたりしたら私死ぬのかな。
死は怖くないけど、さすがに薬なんかで死ぬのは嫌だな…。
あ、でも万が一飲まされても治療薬があればひょっとすると助かるかも…いやでもその前に時間切れで死んじゃうかぁ…。
倉庫前で1人ネガティブ思考のループを繰り広げていると突然副長からの無線が入り、慌てて返事をした
『は、はい大石です!』
[10番から12番にはいなかった、これから9番を調べるが…そっちはどうだ?]
副長の言葉にギクッと肩を強ばらせる
やばい、まだひとつも調べれてないなんて言ったら確実に怒られる…!
『い、今まだ1番倉庫を調べてるところです…』
[あ?まだそこにいんのか、倉庫ん中は広いが障害物はねェんだ…奴がいないのが確認出来たらすぐに次の倉庫を調べろ!]
『りょ、了解しました!』
副長との通信を終え、ホッと一息つくと再度目の前の倉庫を見つめた
『…。』
…もうここは覚悟を決めて行くしかない!
意を決して私は勢いよく倉庫の扉を開けて中に入った
『御用改めである!!神妙にお縄につ……あれ?』
中には人の気配が無く、副長の言う通り広々としていて物はあまり無かったが使われていないだけあって薄暗く、どこか古臭いニオイがした
『けど良かった…1番最初に入った倉庫に犯人がいた、なんてことになったらビックリしちゃうもんね…』
少し緊張が和らぎ、ホッと胸を撫で下ろす
1番倉庫を出て、そのまま2番倉庫への道に足を進めようとした時だった