第3章 占いは信じなくても当たる時は当たる・前 【星の砂⭐︎】
「山崎の報告から俺達がここに来るまで少なくとも20分は経過してる…こちらの動きが知られていないとはいえ、奴がいつまでも同じ場所にいると限らねェだろ」
『あ…た、確かに』
「…だがその後奴が他所へ移動したって情報も入ってきてねェから…まだこの近くにいるのは間違いねェだろうぜ」
そう言って土方さんは私を見つめる
「いいか、今から俺とお前で全ての倉庫を調べる。そこでもし奴を見つけたらすぐにこの無線で居場所を伝えろ」
手渡された無線を受け取り、慌てて口を開いた
『全てって…副長、倉庫は全部で12もあるんですよ?捜してる間に奴に気づかれたり逃げられたりしたら…』
「だからこそ二手に分かれて捜した方が効率良いだろ。それと、こっちも見つけ次第報告すっから無線は絶対切るんじゃねーぞ」
副長の指示に眉をひそめ頷いた
「お前は1番倉庫から調べろ、俺は12番倉庫から行く」
『わかりました』
「結衣、」
副長の言葉に頷いて背を向けようとした時、再び彼に名前を呼ばれ振り向いた
「奴はどんなヤクを所持しているかわからねェ、だが情報によれば微量でも摂取するだけで忽ち死に至るモノもあるとされている。
…気をつけろよ」
『………。』
少し真剣な顔つきで言った彼の言葉にこの時の私はただ顔を引き攣らせることしか出来なかった