第3章 占いは信じなくても当たる時は当たる・前 【星の砂⭐︎】
「着いたぞ、ここだ」
『すみません、ここに着くまでの記憶がほとんどないんですけど…』
あれから数分ではあったが副長の荒運転で悲惨な目に遭った私は、現在山崎さんからの情報にもあったターミナル付近の倉庫前にいる
ターミナル付近といっても今はほとんど使われておらず、人通りも少ない場所だ
「オイ、何ボサっとしてやがる!気ィ抜いてんじゃねェぞ」
『……。』
やはり今日は厄日だ、そして副長も確実にアンラッキーアイテムだ…間違いない。
『副長、さっき山崎さんが言ってた例の件って一体何のことなんですか?』
私の質問に土方さんは周りを少し警戒しながら答える
「…数ヶ月ほど前からこの付近で不当な薬品の密売が行われているとの目撃情報があった」
『薬品…ってヤクのことですか?』
「あぁ、しかもそのヤクってのがまた厄介で人体に悪影響なのは勿論、宇宙にまで多種類に渡り取り引きされている代物らしい」
『…では元は天人が持ち込んだものと?』
「まぁ大方はそうだろう…だがどうやってそれが地球人の手に渡ったのかは謎だがな」
…副長の話だと薬に関する情報はこちらにはろくに入っていないということになる。
種類が多いとそれだけ同じように情報も必要だし、確かに厄介だ。
「これ以上被害が拡大しねェよう早いこととっ捕まえようと思ったが仲間も複数いるとわかってな…どうせなら主犯格を捕まえた方が手っ取り早いと思って敢えて泳がせてたんだ」
『そうだったんですか…』
「その甲斐あってか、今回山崎の掴んだ情報によるとその売人の主犯格が今日ここで薬の取り引きを行うことがわかった」
『なるほど!じゃあ今から2人でこの倉庫に入ってその現場を押さえるんですね!』
「まぁ待て」
さっそく中へ入ろうと足を進める私を副長が腕を掴み制する