第2章 大切なのは中身より気持ち【星の砂⭐︎】
銀さんと別れ屯所に入ると山崎さんが物凄い勢いでこちらに走って来た
「結衣ちゃあああん!」
『山崎さん、どうしたんですか?』
「どうしたじゃないよ、結衣ちゃんこそ遅かったじゃないか」
"プレゼントは見つかったのか"と聞かれ私は首を横に振った
すると山崎さんはこの世の終わりみたいな顔をしていたけど、見つからなかったものは仕方ない
私は山崎さんの横を通り過ぎ、沖田隊長の部屋に向かった
『沖田隊長、失礼します』
襖を2、3回叩いて部屋に入ると彼はこちらに背中を向けた状態で座り、刀の手入れをしていた
『あの…沖田隊長』
「…何でィ」
あれ…。
『あ、あの…お、お誕生日…おめでとうございます…』
「…」
沖田隊長は黙ったままでこちらを向こうともしない
これは…
想像以上に不機嫌だ!!
山崎さんは八つ当たりされてたみたいだけど、私なんかひょっとするとこれ奴隷にされるんじゃないの!?
冷汗を掻きながら私はその場に正座した
『あ、あのですね、別に忘れていたわけじゃないんです!沖田隊長が今日誕生日だったなんて知らなくて…たまたまその、山崎さんから聞いて…』
必死に言い訳をしていると突然沖田隊長が動かす手を止め振り向いた
「………それで?」
『…え?』
「…それがどうしたんでィ」
あれ!?
『ど、どうしたって…え?だって沖田隊長今日朝から機嫌悪いって聞いてたし、きっと私が誕生日をスルーしていたからかと…』
「んなわけねーだろ、ガキじゃあるめーし。…大体俺誕生日ってお前に言われて今初めて気づいたぜィ」
『え…』
「ちなみに今朝機嫌が悪かったのは昨夜遅くまで溜まってた書類の始末に追われてて寝不足だったからでさァ」
『な…ッ!』
「ま、土方の野郎に渡されたマヨネーズに関しては胸糞悪かったから燃やしたけどな」
そう淡々と話す沖田隊長を見つめる
え、要するに…なに。
つまり…
全部山崎コノヤローの勘違いじゃないかーっ!!