第2章 大切なのは中身より気持ち【星の砂⭐︎】
銀さんのバイクの後ろに乗りながら屯所への道を帰っていると、突然前を向いたままの銀さんが話し始めた
「なァ…結衣」
『うん?』
「さっきの…沖田くんには言うなよ」
『え、さっきの?』
「…いや、何でもねェわ。それより何でまた急に沖田くんにプレゼントあげようとかって思ったわけ?他の隊士達一人一人にもやってるわけじゃねーだろ?」
そう言った銀さんの言葉に少し考える
そう言われればそうだ。
沖田隊長の誕生日だけが特別ってわけじゃないし…他の隊士達にはプレゼントなんてあげたことない。
でも…。
『…確かにそうだけど、沖田隊長には普段から色々とお世話になってるし…過去に何回も助けて貰ったし、…』
- それ、他の隊士達には見せんじゃねーぞ -
『それにその…私も誕生日プレゼント貰ったし…』
口に出して言うと何だか少し恥ずかしくなった
しかし次の瞬間、赤信号で止まった銀さんは俯いたまま静かに口を開いた
「ちょ…結衣、お前…今沖田くんに何貰ったって?」
『私の誕生日に沖田隊長がプレゼントくれたんですよ。…豚のストラップです』
そう言って銀さんに沖田隊長から貰ったストラップを見せる
豚ってのがちょっとアレだけど、ずっと見てるうちに愛着が湧いてきて今は結構お気に入りだったりする。沖田隊長には内緒だけど。
銀さんは一瞬フッと笑うと次の瞬間バイクのハンドルを物凄い力で握り締めた
『銀さん?』
「結衣、やっぱり沖田くんに伝えるメッセージ
おめでとうじゃなくてもいい?」
『え…いいけど何て…』
「"この1年、精々悔いのない人生に"ってな」
『何か怖いんだけど!全然お祝いのメッセージに聞こえないんだけど、死の宣告に聞こえるんだけど!』
青信号になった瞬間、銀さんは勢いよくスピードを上げ発進した
『ぎゃああああああ!!スピードォオオ!!』