第2章 大切なのは中身より気持ち【星の砂⭐︎】
あの後土方さんに事情を説明すると"ふざけんな"と叩かれ頭に大きなたんこぶが出来てしまった
「大体総悟の誕生日に何で俺がんなことされなきゃならねーんだ」
『実は、沖田隊長にプレゼントを渡そうと思ったんですけど…なかなか良いのが思いつかなくて色々考えてたんです。…そしたらもう副長弄りしかないと…』
「どう考えたらそんな答えが導き出せんだ!!」
『じゃあ副長は何あげたって言うんですか』
そう言うと土方さんは少し照れた様子でボソッと呟いた
「ま、…マヨネーズ10本セット」
『…何ですか、嫌がらせですか』
「何でだコラァ!」
「何だ結衣ちゃん、総悟の誕生日プレゼントで悩んでんのか?」
『局長…ってどうしたんですかその顔』
突然私の後ろから現れた近藤さんの顔は凄まじいほどにボコボコだった
「いやぁ、実はさっきお妙さんに会いに行ってたんだがな、お妙さんって照れ屋だからみんなに見られたくないって言って追い返されちゃったんだよ」
『いや照れ屋っていうか殺し屋に殴られたみたいな顔になってるじゃないですか』
「違うぞ結衣ちゃん!これは愛の鉄拳だ」
そう言って笑う相変わらずポジティブな近藤さんはどうやらまだ当分新八くんの姉、お妙さんのことを諦める気はなさそうだ
「結衣ちゃん、プレゼントなんてそんな悩まなくてもいいんだよ。要は気持ちが大事だからな、俺もお妙さんにはいつも気持ちでぶつかるようにしてる」
「そんなんだからアンタいつも身体だけはボロボロなんだよ」
『あ、そっか。要するに近藤さんが言いたいのは土方さんのクソみたいなプレゼントでも気持ちがこもっていればいいと…。』
「いや合ってるちゃあ合ってるけど…言い方!」
「つかクソってなんだ!マヨネーズに謝れコラ」
後ろで何やら叫ぶ土方さんたちを無視して屯所を出た
気持ち…か。
私はそっと腰に差した刀を取り、鞘に付けられた豚のストラップを見つめた
でもやっぱり…私は、
- お前の好みなんか知るかってんでィ -
- 2日遅れのハッピーバースデーってやつでさァ -
沖田隊長に喜んでもらえるようなものを渡したい
だから今後悔してるのは
もう少し
彼のことをよく知っておけば良かったなってこと。