第1章 恋の季節【空回り】
「「忘れてたぁー!?」」
『あはは…うん、すっかり』
翌日のお昼休み昨日の手紙のことをハム子とナツコに聞かれ、私は苦笑いしながら事情を説明した
「しかも"うっかり"じゃなくて"すっかり"って…」
「ハナから行く気なかったわね」
『あは、バレた?』
そう言うと"バレたじゃない!"と言って2人に怒られた
「アホだなお前」
『なッ!』
振り向くと土方が人を小馬鹿にしたような顔で立っていた
そしてその横には焼きそばパンやその他諸々のパンを抱える沖田の姿も!!
「せっかくお前みたいな変な女に告白してきた野郎がいるってのに…目先の叶わねェ恋を優先しやがるとは…でっけェチャンス逃したな」
『いや余計なお世話なんですけど!!てか叶わないって何決めつけてんの!恋愛に関しては私はいつだってポジティブシンキングよ!!』
「あーハイハイ」
そう私を軽く遇う土方に頬を膨らまし睨みつけていると、ふと隣の沖田と目が合った
『あ、おおおはよう!沖田…あっもう昼だからこんにちはだね!2人して購買行ってきたの?わぁ、そのパン美味しそう…私も沖田と買いに行けたら良かったのになぁ~』
そう言って笑うと沖田はスッと私に手に持っていた菓子パンを差し出した
『え…く、くれるの!?』
あの沖田が!この私にプレゼントだとおおお!!
「パンだけどね」
「パンだけどな」
冷ややかな目で私を見るそんな土方とナツコの声は私の耳には当然入っていなかった
『ありがとう沖田、私これ一生大事にするから!』
「食べろ、腐る」
土方が若干引き気味に言った
「オイ…」
『なに?沖田』
「これやるからさっさと消えろィ」
『…』
沖田の言葉にため息をついて私はハム子達に振り返った
『…ごめん私、今日早退するね』
「「「ポジティブどこ行った!!」」」