第11章 電話越しの彼
- 別れよう…俺達 -
あの日…沖田と別れてからもう2週間が経つ
それまでの私は、何とか生きてはいるものの心にポッカリと穴が空いたみたいに何だか虚しい気持ちだった
これが夢であったらどんなに良いか…
だけど高杉にキスされたのも沖田にフラれたのも全部現実で、なのに私はまだそれを受け入れられずにいる。
自分から別れるって言っておいて…女々しい自分自身が嫌になる
部屋のベッドに寝転がり携帯を開く
この2週間何度も消そうと努力したけど…結局電話帳から"沖田"の名前が消えることはなかった。
『…そう簡単には消せないよね…。』
だってこの番号を入手するのにどれだけ苦労したかしれない…。
【回想(高3)】
『沖田!携帯のメアドと番号教えてくれない?』
「無理」
『ちょ、即答!?…お願い!絶対に変なメールとか沖田へのラブコールとかしないって約束するからッ!!』
「いやもうそれするって言ってるようなもんだろィ。…ただでさえ毎日顔合わせてうんざりしてるってーのにその上メールや電話なんて冗談じゃねーや」
『わ、わかった!じゃあ宿題のプリント毎回私が解いたやつ写メするから!!…それでどう?』
「……。宿題以外のメール寄越したら即迷惑メール行きだからな」
…と、つまりは沖田と毎日一通メールが交わせるという素敵な条件でゲット出来たわけで。
あの頃の私なら今回のことも
"こうなったら絶対にまた沖田を振り向かせてやるんだから!"
なんて言ってポジティブでいたかもしれないけど…今それが出来ないのは
もう沖田との恋に自信がなくなってしまったから。
私は溜息をついて枕に顔を埋めた
あぁ、私はいつからこんなに諦めが良くなったんだろう…。
徐々に視界が歪んできて目から溢れるそれが枕元を濡らしていく
すると突然手に持っていた私の携帯が音を鳴らした為、慌てて顔を上げ画面を見つめた