第10章 緊急会議【歩視点】
夏の暑さも少し落ち着いてきた今日この頃
俺は部屋を出てリビングのカーテンを開ける
「うわ、眩しっ」
突然目に入ってきた光に思わず顔を背けた
やぁ、みんな!俺の名前は水野歩。現在大学4年の就活生さ!
え、お前そんなキャラだったかって?
まぁ察しのいい読者のみんなはわかってるかもしれないが、俺のキャラ設定は極めて不安定だ!
一応名門大学に通い、学校でもそれなりに女の子からモテ、わりと充実した人生を送っている
え、俺の話はもういいって?
あぁ、何で俺がナレーションしてるかって話だろ?
それはさ…。
「桜ーっ!朝だぞ起きろ〜」
『…』
もう9時半だというのに隣の部屋で未だ眠る我が妹、桜
正確に言うと実の妹ではないが、俺の母さんの妹の娘、つまり従兄弟関係にあるわけで、行方の知れぬ彼女の両親の代わりにウチで引き取ることになった
でも、それもつい最近の話。
それまで桜はずっとかぶき町に1人で暮らしてた。
高校に通い、仲の良い友達もいた。
そして、俺が見た桜はただの恋する女の子だったんだ。
その恋というのがまた厄介で、学校で一二を争うモテ男、沖田くんに桜は3年も片想いをしていた…よくやるよ全く。
沖田くんの為なら何だってやろうとする桜は、良く言えば恋する女子の鏡だが悪く言えばただのストーカーだ。
本人には恐らく自覚はないが、彼女も彼女なりに頑張っていた方だろう。
そんな努力のおかげか、はたまた沖田くんが折れたのか、二人はゆっくりだが着実に距離を縮めて行った
そして
- 私…沖田がすき -
- 俺も好きだ…吉野 -
大晦日の夜、ついに二人の想いは通じ合った
え?何で俺がそんなこと知ってるのかって?
それは桜本人に嫌という程聞かされたから。
長年の片想いを終え、沖田くんと晴れて恋人同士になれた桜は何というか…より一層沖田くん愛が強くなった。
二人は現状遠距離恋愛ということになっている…まぁ、桜を連れて来たのは俺なんだけど…桜自身も共に暮らすことに嬉しく思ってくれていたようだ。
それから日々桜から惚気話を聞かされている限りでは二人が上手くいっているようには思えたんだけど…