第9章 衝突
沖田に話がある、なんて言って二人して駅のベンチに座ったまではいいけど…
「…」
『…』
空気が重すぎる!!
別に楽しい話じゃないから明るくとまでは言わないけど、これはさすがに喋りづらい!
沖田はさっきから黙ったままで、頬杖をつきながら遠くを見つめている
『…』
落ちつけ私…
大丈夫、ゆっくり…深呼吸して…
せーのッ
『あのねっ…「なァ、」
『はぃい!?』
私が言いかけた瞬間沖田が喋り出した為、慌てて変な声で返事をした
「…話って…何でィ」
『え…』
「さっき言ってたのも…店で言ってたのと同じことだろィ?」
『あ…うん』
俯き加減に頷くと沖田はまた黙り込んだ
高杉がどこまで話したのかはわからないけど、きっと沖田は私の口から話すのを待ってるんだ。
『あ…ちなみに沖田の話って?』
「お前が話したら言う…」
『あ…そ、そっか』
仕方ない、ここはもう覚悟を決めて!!
『じ、実は…もう沖田は知ってると思うんだけど』
「…」
『先週…たまたま私のバイト先に高杉が来て…バイト仲間の人とライブに行く予定だったみたいなの…。それでその日の夜、バイトから帰ってきたら家の前に高杉がいて、私のこと待っててくれてたみたいだったから家に入れたんだ…』
「…高杉から聞いた」
『あ、やっぱり…』
沖田は目を伏せたまま溜息をついた
「別に…高杉を家に入れたとか、んなことで怒ってるわけじゃねーよ俺ァ」
『え、そ、そうなの!?』
あれ、じゃあ何で沖田は怒って…
頭にハテナを浮かべていると沖田に不審な目で睨まれた
はっ!もしかするとキスされたこと…!?
「お前…高杉の野郎に泊まるかって言ったらしいじゃねェか」
『…あ。』
「あ。じゃねーや。簡単に男を家に入れた挙句、泊まりも許可するなんて尻軽女のやることだぜィ」
『尻軽って…私はただ時間も時間だったから良かれと思って…それに、高杉は友達だし…』
「お前はそうでも野郎はそうは思ってねェかもしれねーだろうが!」
あ…
" 俺はお前が好きだ "
そうだ…。
高杉は…私のこと…。
私の頭の中に一瞬高杉にキスされた場面がフラッシュバックされた
『ッ!』
顔を真っ赤にしていると再び沖田に不審な目で見られた