第8章 本音
「そっか…桜ちゃん、ついに総悟くんに振られたんだね」
『いや…振られたわけじゃないんだけど…』
「ううん、言わなくても大丈夫。よく頑張ったよ桜ちゃんは」
『何も大丈夫じゃないんだけど!なに、そんなにみんな私と沖田を別れさせたいの!?』
あれから私は琴梨ちゃんに誘われ、彼女の家にお邪魔することになった
『それにしても…すごく可愛い部屋だね』
お姫様系?女の子なら1度は誰もが憧れるような家具やインテリヤがたくさんある
『ありがとう、今紅茶入れるね』
そう言ってキッチンの方へ掛けていく琴梨ちゃん
紅茶か…。私なら「麦茶でいいよね!」ってなるけど…やっぱりここで女子力の差が出たな
ミツバさんもよく紅茶出してくれるし…。
『メンタル…』
「紅茶か麦茶くらいでそんな落ち込むことないよ」
言いながら琴梨ちゃんは私の前に紅茶のカップを置いた
『えっ、もしかして声に出してた!?』
「ちょっとだけね」
落ち込む私に琴梨ちゃんは静かに言った
「それに私から見たら…桜ちゃんは十分女子力あるほうだと思う」
『え…』
「だって"恋"してるでしょ?十分女の子だよ!」
『琴梨ちゃん…』
「それにしても総悟くん、せっかく桜ちゃんが会いに来たのに追い返すなんて酷い…」
『…でもよく考えてみれば、急に来た私も悪いし』
そう言うと琴梨ちゃんはムッとした表情で私を見つめた
「別に桜ちゃんは悪くないよ…なんて言われて追い返されたんだっけ?」
『えっと確か…バイト中で話してるの見られたらサボリと思われるからって言ってて…私が終わるまで待ってるって言ったら、今日は終わる時間も遅いし、話す時間もないから…帰ってくれ?だったかな…』
ピキッ
『ピキ?』
妙な音がして目の前のティーカップに目を向けると琴梨ちゃんが紅茶を注ぎながらカップを握り締めていた
「話す時間がないだぁあ~?」
『こ、ことりちゃん!?』
「話す時間くらい自分で作ればええやんか!!」
ええええええ!?
『こ、琴梨ちゃん落ち着いて!』
「あ、ご、ごめん。すぐカッとなっちゃうんアタシの悪い癖やねん!」
あれ…関西弁?
『琴梨ちゃん…関西弁なんだね』
「えっ…!」
私の言葉に琴梨ちゃんは慌てて口を塞ぎ顔を真っ赤にした