第6章 気になる存在【沖田視点】
それから5分くらい俺達は無言のままだった
しかしこの2人しかいない静かな空間での沈黙はさすがの俺でも耐えるに耐えきれない程だった為、様子を伺いながら口を開いた
「それ…自分で作ったんですかィ?」
彼女の食べている弁当を指差すと彼女はゆっくりと頷いた
「はい、夜ご飯も兼ねてバイトの日は毎日作ってるんです」
「にしては早くねェかィ、まだ5時ですぜ?」
「私…すぐお腹が空くんです。お腹空くとボーッとしちゃうんですよ」
「…まぁ、それはわからなくもねェけど…」
「それに私…料理するの好きなんで。」
そう言って薄らと笑みを浮かべる彼女を見つめた
何でェ、笑えんじゃねーか。
漫画とかによくいる鉄の女なら調教でもしてやろうかと思ったのに…つまんねェの。
ってんなことしたら桜にぶっ飛ばされそうだなァ…。
「あの…大丈夫ですか?」
「えっ…」
我に返ると弁当を食べ終えたのか彼女が目の前に来て心配そうに俺を見つめた
「今日1日ずっとぼーっとしてますよね。具合悪いなら帰って休んだほうが…あとは私がやっておきますので」
「いや大丈夫でさァ、ちと考え事してただけでィ」
「…そうですか。でも私もそういう時よくあります。考え事しながら料理していた時、卵を割ったあとボールに殻を入れてゴミ箱に中身を捨てようとしたことありますし」
「いやそれはねーだろィ」
「あと…フライパンで間違えてスプーン炒めてたことありますよね」
「滅多にないと思いやすけどねィ」
「でもそういう時、家に帰ってすぐ寝たら案外スッキリしますよ!」
「へ、へェ…そうなんですかィ。じゃあさっそく今日帰ってそうしてみまさァ」
「はいッ!」
…えっ。
「あ、私そろそろ休憩終わりなのでもう戻りますね。」
そう言って丁寧にお辞儀をして駆け足で中に入っていく様子をじっと見つめた
「…変な女」
てか今結構喋ってた…よな?
能面みたいな女かと思ったけど、
-はいッ-
コロコロ表情変わんだなァ…
それにあの顔……
「ちょっと似てらァ…」
会いたいけど、会えない
- 沖田ァー! -
遠い女に。