第6章 気になる存在【沖田視点】
「…ーちゃん」
「…」
「そーちゃん…て」
「そーちゃん、起きて!」
少し強めに体を揺さぶられ目を覚ますと心配そうに俺を見つめる姉上の姿が目に映った
「姉…ちゃん」
「やっと起きた。もう学校行く時間じゃない?」
姉上の言葉から思考をフル回転させて今日の時間割を思い出した
確か…今日は3限から講義で…
「もう11時よ?」
「やべェ!」
勢いよく布団から飛び起きて私服に着替える
「そーちゃんダメよ、夏休み明け早々遅刻しちゃ…」
「だ、大丈夫でさァ、そんな遠くねェしチャリ急いで漕げば間に合いますよ」
「そう?あ、でもご飯はちゃんと食べるのよ。頭働かないでしょう」
「そ、そうですねィ…でも時間ないんでコンビニとかで買ってきます」
そう言って急いで玄関に向かい、靴を履こうとしたところを姉上に止められた
「だーめ。そーちゃん夏休み前はずっと寮だったから、絶対栄養偏ってるもの。ウチにいる時はちゃんと三食食べなさい」
いやもう昼だから一食抜けてんだけど。
そう心の中でツッコミながら鞄を背負った
「わ、わかりやした!じゃあ学食にしまさァ。それだったら栄養偏らないし、遅刻にもならねーでしょ?」
「…そうね」
「じゃ、行ってきます」
「あ、そーちゃん」
玄関のドアを開けた瞬間名前を呼ばれ振り向いた
「今日からまた寮生活になるでしょう?だから…」
「わかってまさァ、ちゃんと連絡します」
そう言うと姉上は安心したように笑った
「ついでに土方の野郎にもよろしく言っときまさァ」
「も、もうそーちゃんったらっ!早くいってらっしゃい」
背中を押され家から出る
「…って何で俺が土方にんなこと言わなきゃならねーんでィ」
姉上の幸せそうな顔を見るのは嬉しいが野郎との仲が深まっていくと思うと気に食わねェ
きっとこんな矛盾した気持ちは相手が土方じゃなくても姉上が俺の姉上である以上変わらねェんだろうな…
って今はんなこと考えてる場合じゃねェ。
俺は自転車に跨り急いで学校へ向かった
大学の夏休みが明け、今日からまた授業が始まる
夏休み中は実家で姉上と過ごすことが出来たが、同時にバイトもそこそこ入れていた為、正直あまり休んだ気はしなかったりする。
まぁ来月の銀八会までだし
久々に…アイツとも会えるし
「もう少し頑張ってやっか」