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空回り2【銀魂】

第5章 秘めた想い


『じゃーん!吉野桜ちゃん特製、優しさたっぷりスパゲッティだよ!』

「…俺普通のパスタが食いてェわ。なんだよ 【スパゲッティ】って腹立つな」

『食べたら一緒だよ、高杉の性格が良くなりますよーにってお願いして作ったから』

「ぶっ殺されてーのか」

笑顔で言うと高杉に頭を叩かれた

だったら食べるなって言おうと思ったけど、なんだかんだ言って美味しそうに食べてくれていたから何も言わなかった

それから2人してテレビを見ながらしばらく談笑していると、ふと壁に掛けられた時計に目を向けた

『あ、もう10時過ぎてる!!』

「もうんな時間か…」

腰を上げて鞄を背負う高杉を見つめた

『…帰るの?』

「あぁ、さすがにライブで疲れたしな…帰って寝る」

『あ、良かったら今日うちに泊まっていく?』

高杉は目を見開いて私を見つめた



今思えばそれはとんでもない発言だったのだろうけど


この時の私は、ただ純粋に高杉を友達として見ていたから

「…ふざけんなよ」

『え?』

「…んなこと…簡単に言ってんじゃねーよ」

高杉が怒るまで

『何言って…高杉なら大丈…』
「大丈夫じゃねェ!」

彼に押し倒されるまで

『た…たかすぎ?』

「…」

彼の辛そうな顔を見るまで

『たかす…んッ』

彼にキスされるまで


その気持ちに気づくことが出来なかった。


頭が真っ白になり動けない私の首筋に高杉は顔をうずめた

ゃ…いや…イヤだ!!

『イヤッ!』

次の瞬間高杉の体を思いっきり突き飛ばした

高杉は涙を浮かべる私を見てバツが悪そうに目を伏せた

「帰る」

『あっ…。』

高杉は再び鞄を背負い私と1度も目を合わさず出て行った


私は涙が止まらなかった

高杉に押し倒され、キスされて…初めて彼の気持ちに気づいた

友達だと思ってたのに…もうその彼はいなくなってしまった。

鞄の中の携帯電話が音を鳴らす

『ッ…なんで、こんな時に限って…』

着信の画面には待ち望んでいた彼の名前。

だけど今…その声を聞くのがどうしようもなく辛くて、

このままだと自分が許せなくなりそうで。



だから私は




そっと携帯を閉じ、聴こえないフリをした。
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