第5章 秘めた想い
ある日の正午、土方から電話を貰いしばらく彼と話をしていた
『へぇー!沖田バイトしてるんだぁ』
「ああ…本人は物凄いめんどくさがってたがな」
『あはははっ確かに沖田が笑顔で接客してるとこなんて想像出来ないな』
「それ本人には言うなよ、殺されるぜ」
『あ、気をつけます!!』
土方情報によると沖田も相変わらず向こうで頑張っているらしい。
「んじゃ、俺そろそろ午後の授業始まっからもう切るな」
『あ、うん!わざわざ電話くれてありがとう、またねー』
通話を終えてリビングのソファーに寝っ転がる私を見て歩兄は言った
「今の電話…誰から?」
『土方だよ。元気にしてるかーって連絡くれたの』
「ふーん」
『何か沖田バイト始めたんだって!喫茶店って言ってたかな?…あぁ沖田のウエイター姿格好良いだろうな〜』
「へぇー…じゃあ沖田くんに見せてって言ってみたら?」
『いや100%見せてくれないと思う…それに話聞く限り沖田今忙しそうだもん』
「…そうだな。でもバイト始めたことすら言う暇もなかったのかな」
『た、確かに!!』
歩兄の言葉にハッとなった
私なんで沖田からじゃなく土方に聞いてるんだろう!
喫茶店のバイトって電話も出来ないくらい忙しいものなの!?
そもそも何で土方に電話貰って満足してるんだ私!?
『これじゃまるで土方が私の恋人みたいじゃん…』
「もう沖田くんやめてその土方くんと付き合えば?」
『なななに言ってんのオオオオ!!』
「ぐはっ」
私は思いっきり歩兄の背中にパンチをお見舞いした
『私の沖田愛はこんなちょっとやそっとの事では折れないの!
大体ね…
土方にはミツバさんっていうもう超超可愛いくて美人な彼女がいるんだから!!あの2人は幸せなの!ハッピーエンドなの!!』
「ちょ、昼間っからうるさい」
騒ぐ私を無視して歩兄は新聞を持ったままトイレに閉じこもった
…おやじか。
でも…
〝総悟、バイト始めたみてェだぜ″
『メールでくらい…教えてくれてもいいじゃん…』
「ていうか桜お前…バイトは?遅刻すんぞ」
『…あ。』
トイレのドアから顔を出して歩兄が指差す時計はバイトの時間まで10分もなかった