第6章 感情コントロール
いつも遅刻ギリギリの沖田が今日は珍しく早く来ていて私のテンションは朝からMAXだった
近藤くんたちに挨拶して鞄を置く…そんな姿も…
『素敵!万歳私の王子様!』
「ちょっと桜ちゃん、早く教室入ってくれない?」
『あ、ごめん山崎くん』
ハッと我に返ると本日た・ま・た・ま一緒に登校してきた山崎くんが苦笑いして私の後ろに立っていた
なんてこと!
教室のドアから覗いてたなんてまるでストーカーじゃん私!
教室に入ると沖田は近藤くん達に今朝見た夢のことを話していた
気になって沖田に話しかける
『それってどんな夢?』
そう聞くと振り向いた沖田は言いかけた言葉をやめて顔を赤くし眉間に皺を寄せた
『わ、私出てきたりして!?』
そう言うと沖田はフイッと顔を逸らして「んなわけねーだろバカ」と言って教室を出て行った
私が黙っているとその様子を見ていた近藤くんが言う
「き、気にすることないぞ桜ちゃん!あらァ照れ隠しだからきっと!」
『…え、何が?』
そう返すと「大丈夫ならいいんだよ、うん」と近藤くんは笑った
そういえば美々ちゃんまだ来てないのかな?
ふと、先日美々ちゃんに言われたことを思い出す
- いっそのこと諦めたほうがいいわ-
諦めるって…何を?
沖田を好きでいること?
そんなこと出来ないよ…だって沖田は…。
「授業始めんぞー」
学校のチャイムの音が鳴り先生が教室に入ってきた
とりあえず今あれこれ考えるのはやめよう。
「ハイ、じゃあここの文吉野読んでみろー」
『はい。…日本語が難解な言語であるように、恋も難解であり想いを伝えてもそれが実るとは限らないかもしれなくもなくもない…』
「おーい途中からおかしいことになってんぞー」
その後も授業に集中出来ず、気づけば昼休みになっていた
「ちゃん……桜ちゃん!!」
『えっ!?』
妙ちゃんに呼ばれてハッと我に返る
「そこ口じゃなくて目よ」
『あ…』
「最近よくボーッとしてるわね。何かあったの?」
妙ちゃんの言葉にさっちゃんは言う
「あれでしょ恋の悩みでしょ?さては、沖田と何かあったな」
図星をつかれた私はただ苦笑いするしかなかった
『何もないよ…全く!』
そして同時に涙もこぼれた
((あ~何かあったんだ…))