第20章 繋がる想い
「あ、やべ。あと5分で来年になっちまう」
時計を見ながら言う沖田に私は眉を下げ微笑んだ
そんな私を横目に沖田は空を見上げた
「…寒みぃな」
『うん…』
頷いて同じように空を見上げる私に沖田は言う
「明日…だったよな、行くの…」
『…うん』
「なんだろうな…こういう時って何か言わねぇといけねーんだろうが…何にも出てこねーや」
『…沖田』
「まぁ色々あったが、要するにお前は…最初から最後まで変な奴だったってことだな」
『へ、変!?』
沖田は私の顔を見て微笑む
「ばかでドジで間抜けで負けず嫌いで自分勝手、逆に変じゃない要素がねぇ」
『最早悪口なんだけど!!』
でも、と続けて沖田は言った
「人一倍不器用で真っ直ぐで…友達想いでバカみたいに一途」
沖田はそっと私の頭に手を乗せた
「俺ァそんなお前見てんの、嫌いじゃねェんでィ」
『ッ…』
「…わりと。」
『なに…ッ…それ…ハハ、沖田らしくな、い』
「確かに、かっこ悪ィ…こんなの俺じゃねーや」
いつもの彼と違うその弱々しい声と表情に私は心臓が押し潰されそうな感覚になった
「お前は…いつもバカみたいに俺に引っ付いてくるから…そういうのがこれから先も続くんだって、そう思ってた」
『…』
「だからほんとは、行くなって…思うけど…お前には家族を大切にしてほしい…
はー…やっぱ俺ァ向いてねェなこういうの」
髪をくしゃっと掻いて下を向く沖田に私は背中を向けた
『っと…それってあれでしょ?沖田はその、つまり…私に、惚れてるんだよねッ…』
背中を向けているから沖田の表情は見えなかったけど私もまた、溢れる涙のせいで彼の方を向くことが出来なかった
「…悔しいけどねィ」
『ッ…』
驚くことより切ない気持ちが溢れて涙が止まらなかった
沖田はそんな私を前に向かせ引き寄せるとぎゅっと抱き締めた
「…吉野、」
「……好きだ」