第20章 繋がる想い
『初詣?』
放課後、妙ちゃんたちに呼び止められた
「ええ、来週には桜ちゃん行ってしまうんでしょう?…だからその前の日にみんなで近くの神社に初詣に行こうって言ってるんだけど…どうかしら?」
『もちろん!行きたい!』
私がそう言うと妙ちゃんと神楽ちゃんは顔を見合わせて笑った
「良かったアル!年越し、みんなでしようナ」
「銀八先生やクラスのみんなも来てくれるみたいなの」
『…そっか!』
みんな私の為に…なんか嬉しいな。
「じゃあ31日の夜、私と神楽ちゃんとで迎えに行くわね」
『うん!…じゃあまたね』
妙ちゃんと神楽ちゃんはこの後学校に残ってテスト勉強をするらしく私は一人で教室を出た
夕日が校舎を照らす時間、学校にはもう部活の生徒しか残っていない
-銀高ファイオーッ…-
グラウンドを走る陸上部の声や
シュートを決めたサッカー部の笛の音、
どこかの教室から聞こえてくるバイオリンの音に
体育館から聞こえる大勢のかけ声、
どれもいつも聞いてるものなのに
何故だろう、今日はいつもより…はっきりと聴こえてくる
靴を履いて体育館の前を通り過ぎ、剣道場の前を通る
足を止めて少し中を覗くと…
「そこっ!声が出てないぞ!もっと腹から声を出すんだ!」
「はいっ!」
剣道部、練習してる。
近藤くん…引退しても練習しに来てるんだ…さすがだなぁ。
妙ちゃんに見せてあげたい。
「総悟、次お前の番だぞ」
「へィ…」
『あ…沖田と土方もいる』
やっぱり沖田は…剣道してる時が一番生き生きしてる
物凄く真剣だけど、どこか楽しそう
そんな彼を私はここからいつも観ていた
- 沖田ぁああ!ファイト!!ユーキャンドゥーイット!きゃああ素敵!-
-うるせー変態女!!-
でも、それも今日が最後なんだね。
『がんばれ、沖田…』
そう呟いて私はゆっくり学校を後にした