第19章 約束と決意
[沖田side]
走ってきたのか息を切らしながら立つ吉野は雨に降られ全身びしょ濡れだった
そのままゆっくり俺の方に歩み寄る
そしてある程度の距離まで近づくと吉野は口を開いた
『沖田……』
「ッ!…」
『…ごめん』
そう言って俯き拳を握りしめる彼女を黙って見つめる
しかしそれ以上何かを言うわけでもなく、しばらく沈黙が続いた
どんどん激しくなる雨に体が打ち付けられるのを感じながら俺は静かに口を開いた
「…何謝ってんでィ」
『…え?』
「勘違いなんて今さらだろィ、俺は最初から知ってたし別人だったって言われても驚かねーや」
『お、きた』
「…良かったな、本当の"好きな人"に会えて」
俺の言葉に彼女は目を大きく見開いた
俺はそのまま彼女に振り返ることなく歩き出した
『…ッ…待って…待ってよッ!!!』
叫ぶ吉野にわざと聞こえないフリをした
『お願い……行かないでよ…やだ…私は沖田がっ!…』
そう吉野が叫んだと同時に後ろでバタッという音がして振り向くと吉野が地面に倒れていた
「吉野っ!!!」
慌てて駆け寄りその体を支えると苦しそうに顔を歪め身体を震わせていた
彼女の頬に手を当てる
あちぃ…
このままは危ねぇ。
俺は吉野を抱き抱え、彼女の家に向かった