第19章 約束と決意
「…俺は逆だな」
『え?』
彼はコーヒーを一口飲むと視線を窓の外に向けた
「会えなくなるんだからこそ伝える」
『!…』
「今まで言えなかったことを俺だったら言うよ」
『でもっ…そんなの自分が傷つくだけじゃないですか!!』
言わなかったら誰も傷つかないし、沖田との思い出だって綺麗なままで置いておける!
関係が壊れるくらいなら、好きなんていらない!!
「それは…君のわがままだよ」
『えっ…』
吉田さんは真っ直ぐに私を見つめた
『…わが、まま?』
「彼の気持ちはどうなるんだ」
沖田の…気持ち?
「君は自分が伝えなければって言うけど彼は…彼の気持ちは無視するのか?」
…そうだ。
私はさっきから自分のことしか考えていない
自分が傷きたくないから…今のままでいたいなんて、自分勝手な考え方だ。
「君は彼が好きなんだろ?なら彼の気持ちも考えるべきだ」
『でも…沖田は私のことなんて…』
「それは君が勝手にそう思ってるだけだ」
『ッ!』
-俺のこと…好き?-
-俺がお前のこと嫌いとかそんなんねーから-
-俺、実はお前のこと…-
-お前は全然、俺のことわかってねーよ-
-好きだからに決まってんだろうが!!-
「伝えるべきだ、彼に」
"君の想いを"
私の目からまた涙が溢れ出した
『うっ…ヒッグっ…』
「今からでもきっと間に合うよ、だから行くんだ」
『っ、』
「好きなんだろ?彼のことが」
『は…い!!…』
彼は優しく微笑んで私の背中を押した
沖田の家に向かおうと店を出ようとしたとき吉田さんに振り返った
『私…あなたのこと好きでした!3年前のあの日から』
「!」
『でも…今はどうしようもなく沖田が好きなんです!!』
そう、もう誰とも重ねたりしない。
『助けてくれてありがとうこざいました!』
沖田は沖田なんだ。
私が好きなのは
-吉野!!-
沖田総悟。
「ぷはっ!…告白されてフラれてんだ俺」
吉田さんに会えて良かった。
ちゃんと伝えれて良かった。
ありがとう