第17章 別れの序章
『ど、どうしたの沖田』
「あー…部活のタオル取りに来た」
『そ、そうなんだ…』
やばい、なんか昼休みとはまた違った緊張感が…。
「お前は?」
『あ、その…日直の日誌書いてたんだけど、いつの間にか寝ちゃってて…』
「日直って…確か土方とじゃなかったっけかィ?」
『あ、本当だ!』
「土方さんが日直の仕事サボるたァ…こりゃいいネタ手に入れたぜィ」
そう言って黒い笑みを浮かべながら教室を出ようとする沖田
『あっ…ぶ、部活頑張ってね!』
私の言葉に沖田は一瞬目を見開いた
そしてゆっくり私の方に近づき目の前まで来ると私の頭にそっと手を乗せて言った
「進路…決めた」
『え…?』
「俺、警察になる」
『けい…さつ?』
突然の言葉に一瞬頭がついていかなくなった
「まぁ、なるっつってもそんな簡単にはいかねェが、少し前に大学から剣道の推薦が来てたんでィ」
『…』
「近藤さんや土方さんにも同じように来てて、2人とも受けるっつってた。だからってわけじゃねェが、俺も…受けてみようと思う」
『…そっか』
「警察になろうと思ったのは近藤さんたちが目指してるからってのもあるが、今はそれだけじゃなくて、ちゃんと人々の安全を守る仕事がしてェって思ったからなんでィ」
沖田は真っ直ぐ私の目を見つめた
「俺は…1度護りてェと思ったもんは最後まで護り通してェ…ちとクセェけど、オメェには、ちゃんと言っときたかったんでィ」
そう言った沖田の目は真剣で、その言葉の意味なんて知ることも考えることもその時の私には出来なかった
今まで一生懸命沖田に近づこうとしてきたけど
『うん、沖田ならきっとなれるよ』
また少し
「あたりめーだろィ」
彼が遠くなった気がした
「お前はどーなんでィ」
『私は……』
私は結局また同じことの繰り返しだ。
『実はまだなんだよね!決まったら言うよ!』
結局また…
「…じゃあ別にいい。興味ねェから」
『え!?』
ゼロに戻ってしまうんだ。