第17章 別れの序章
『歩兄、ごめんなさい!』
「ふぁ…待ちくたびれたよ。まぁいい夢だったけど」
って寝てたんかい!!
帰り道、歩兄と並んで歩いていると、突然彼が口を開いた
「でも桜が元気そうで良かったよ」
『え?』
「お前には小さい頃から両親がいなくて寂しい思いをたくさんさせちゃったから…俺の母さんと父さんもどうしてあの時お前を引きとらなかったんだろうってずっと悔やんでた」
『…』
「今だってすごく心配してる。けど、今朝の桜の様子をみて少し安心した。元気で明るくてバカでドジで間抜けで…」
『ちょ、後半いらないよね!?』
「でも優しくて友達想い…頑張り屋さんになってた。…だから、安心した」
『歩兄…』
「ほんとはさ、ここに来たのは別に用事があったとかじゃねーんだ」
『…そうなの?じゃあ何で…』
そう言うと歩兄は立ち止まり、私を見つめた
「桜、」
この時私は思った。
変わることなんて決してないと思っていたことでも思わぬところで変わることがあるかもしれないということを。
そしてそれはあまりに唐突で一回で受け入れるのは難しい
でもいずれは選ばなければならないときが来るのだと
「俺と…俺たちとみんなで暮らさないか?」
それが例え大好きな人達と別れることになったとしても