第17章 別れの序章
『なな、なんですか!?』
私は目の前の男の人を勢いよく引き剥がした
最悪だ!何でこんなところにこの人が!
「探した。もう俺大変だったんだぜ?お前の学校の場所わかんねェし、校門入ろうとしたら不審者に間違えられるし、女子生徒に声掛けられるし、食堂のラーメン並ぶの時間かかったし」
『いや後半ほとんど関係ないでしょ!
何普通に学校生活エンジョイしようとしてんの!?』
「それでお前を知ってるって言う食堂にいた女の子たちに教室まで案内してもらったってわけ」
そう言った彼が後ろを指差すその先には、妙ちゃんと神楽ちゃんの姿があった
「桜ちゃん、この人桜ちゃんの知り合いなの?」
「もしかして彼氏アルか?」
神楽ちゃんが言った瞬間私の隣でガシャンと物音がした
どうやら沖田が携帯を落としたみたいだ
「どうしたんですか沖田さん?」
「…いや別に」
唖然とするみんなに向かって私は言った
『えっと…この人は私の、従兄です』
「「い、いとこぉおお!?」」
「水野 歩、大学生。よろしく!」
よくわからないキメポーズをしている彼をまじまじと見つめる土方
「なんかまたよくわかんねーキャラが出てきやがったな…」
『ていうか歩兄何しに来たの?』
「何ってこれ!水筒!今朝玄関に忘れてったろ?わざわざ届けてやったんだから感謝しろよ」
そう言って水筒を私に手渡した
『あ、ありがとう…』
ていうかまだ家にいたのか。
「あれ、二人ってもしかして一緒に住んでるの?でもさっき一人暮しって言ってなかった?」
近藤くんが私と歩兄を見て不思議そうに言った
『はぁ…私も今朝までは一人だったと思うんだけど…』
「元々俺はこっちの方には住んでなかったんだよ。桜とも小さい時に会ったっきりで住所も連絡先も知らなかった。まぁ、こっちはこっちで色々あってある時、親と話し合って決めたことがあったんだ。それでちょっとこっちに来る用事が出来たから元気でやってるかどうか様子を見に来たんだよ」
歩兄の話を聞いた近藤くんは「良いお兄さんじゃないか」と言って笑った
「それじゃあ、俺はそろそろ行くかな」
『え、帰るの?』
「いや、学校から許可貰ってるし、ついでに桜が終わる放課後まで学校見学でもしておくよ」
いや帰って!お願い300円あげるから!