第17章 別れの序章
休み時間、私は自分の席でさっきもらった進路調査のプリントを眺めて項垂れた
どうしよう…
進路とか全く考えてなかった!!
いや正直言ってそれどころじゃなかったんだ。
「桜ちゃん、大丈夫?」
「進路…まだ悩んでんのかヨ」
そう言って妙ちゃんと神楽ちゃんが私の顔を覗き込んだ
『うん……え、ていうかまだって…神楽ちゃん、進路どうするか決まったの?さっきまで受験が何かもわかってなかったのに!?』
「オウ!やっぱり食べるの好きだから思いきってそういう職に就こうかなって」
『あぁ、グルメリポーターとか?』
「ううん、狩人アル」
『食べるってそこ!?野性的なものを!?ていうか何でそこでそんな設定!?』
「そういう桜ちゃんは将来何になりたいとかないの?」
妙ちゃんに言われて少し考える
将来か…。
ふと頭に思い浮かべたのはずっと想いを寄せてきた沖田の顔で…
「姉御、桜のことだからきっとサド野郎のお嫁さんに~とか言うに決まってるアル」
『ッ!』
神楽ちゃんの言葉に顔を赤くする私を2人は目を丸くして見つめた
「桜顔真っ赤アル」
「もしかして沖田くんと何かあったの?」
『いや…なんでも』
「沖田になんかされたんだろ?」
私の声を掻き消すような声で高杉が言った
『ちょっ!高杉ッ』
「桜、アイツと仲良いアルか?」
神楽ちゃんは私と高杉を交互に見ながら不思議そうに言った
『え、いやまぁ…ちょっとだけ』
「でも高杉君ってあまり学校に来ないし、誰かと喋ってるところとかも見たことないわよね」
妙ちゃんの言葉に反応して、チラッと高杉を見る
確かに学校に来るのも週に1、2回くらいだし、休み時間も誰かと話してるところなんて見たことない
私の場合、前の席替えでたまたま隣になったから彼と話す切っ掛けがあったんだけど。
実はコミュニケーション取るの苦手なのかな…
それとも…。
次の瞬間、高杉と目が合った
「こっち見んな変態女」
『…。』
…ただ単に性格の問題なのかも。
『まぁ、意外といい人だよ高杉』
ほんのたまに、だけどね。
「あら、桜ちゃんひょっとして高杉くんが?」
『いや!それはないです!!』