第17章 別れの序章
あの後、すぐに教室に入り辺り見渡すが、何故が沖田の姿が見当たらなかった
私より先に学校に入ってったはずなのに…トイレかな?
そんなことを考えながら席につくと突然後頭部に激痛が走った
『ッ!誰よ今私の頭に辞書ぶつけたやつ!』
後ろを振り向くと"さんすう"と書かれた本を読みながら手を挙げる高杉がいた
『高杉…』
「よぉ…」
私は高杉の席まで移動し、彼の前に座った
『…昨日は、ごめん。勝手に帰っちゃって』
「オメーが勝手なのはいつものことだろ」
『…』
「足の怪我…」
『へ!?あ、もう大丈夫だよ!』
「そうか…」
そっか…高杉も知ってるんだよね、昨日のこと。
何も聞こうとしないのはきっと高杉の優しさなんだと思う
『美々ちゃんに…謝らないとね』
「あ?」
『デート…邪魔しちゃった』
「…」
『体育祭のキスも…ルールだったのに、私が勝手にショック受けて…沖田に気を遣わせた』
本当…私は自分勝手だ。
美々ちゃんが沖田を好きな気持ちも知ってたはずなのに…最低だ…私。
「山本も、お前と同じこと言ってた」
『え…?』
〜 回想 〜
「やっぱり…追いかけちゃうんだ」
「お前が言ったんだろ」
「!高杉くん…そうね。
でも、実はほんの少し期待してた。桜ちゃんのこと追いかけず私のそばに居てくれるかもって」
「…」
「桜ちゃんは私なんかよりずっと前から沖田くんのこと好きだったもの…私の恋が叶うわけないってことなんか最初からわかってたわ」
「でもやっぱり諦めたくなくて…遅かったけど、好きって気持ちだけはどうしても伝えたかった。…まぁキスしたのはちょっとした出来心ってやつだけど」
「…。」
「でも、桜ちゃんにキスを見られた時の沖田くんの顔は酷く辛そうで…その時、私はっきりと気づいちゃったの」
沖田くんも桜ちゃんのことが好きなんだって…。
「あいつら変なところで素直じゃねェからな」
「…フフ、ほんとに。早くくっついちゃえばいいのに…ッ」
「…本格的に泣かれる前に帰るぜ俺ァ」
「慰めとか一切ないのね高杉くん、冷たい人」
「冷たくて結構。…残念だが俺はあんたの描くような理想的な奴じゃねェんでな」
「…!フフ、…ほんと…
冷たい人。 」