第17章 別れの序章
あの後家から全力で走ったおかげで今の私は完全に息切れ状態になっていた
さすがに追ってくる…わけないか。
後ろを振り返ってホッと胸を撫で下ろした
それにしても何であの人が…。
少し俯き考えながら歩いていると学校の門の前に立っている人物を見てドキリと胸が鳴った
沖田だ!!
それと同時に昨日の出来事がまたしてもフラッシュバックする
どうしよう、会いたくない。
今会ったってきっと上手く喋れない
…沖田、あんなところで何してんだろう…
誰か待ってるみたいだけど。
「…何してんのお前」
そっと物陰に隠れ様子を見ていると後ろから誰かに声をかけられ慌てて振り返った
『っぎ、銀八先生!!ち、違うんですよこれはあの覗いてたとかそんなんじゃなくて!決して沖田がどうってわけじゃ…』
「いや別に何も言ってねーけど。
そういやあいつにしては珍しく早ェな今日は」
『で、ですよね!何か変…い、いや別に何にも変じゃないですよ!何なんですか!』
「あれ、逆ギレ!?」
銀八先生は溜息をついて私を見下ろす
「何かよくわかんねーけどとにかく遅刻はするなよ」
そう言って先生は中に入って行った
どうしよう…。
「よぉ吉野、早ェな」
『あ、おはよう土方』
「行かねーのか?…総悟ならあそこにいんぞ?」
『え!いやその別に沖田を待ってるわけじゃ…』
「オイ総悟ー」
ぬあああ!!
何してくれちゃってんの土方!
「土方さん…」
土方に呼ばれ振り向いた沖田と目が合ってしまった
どうしよう、何か言わないと!
『お…おはょ、』
「…はょ」
お互いに顔を見ず苦し紛れの挨拶
「じゃ、先行ってっから」
そう言って土方がいなくなると私達の間には気まずい空気が流れた
その状況にいち早く耐えられなくなった私は土方の後を追おうとして口を開いた
『わ、私もいくね!!』
そう言ってその場から逃げようとしたとき沖田に腕を掴まれた
『へっ!?』
「吉野…昨日は、悪ィ」
『え…』
沖田は私から視線を逸らしそれだけ言うとさっさと中へ入って行った
悪いって…何が?
キスしたこと?それとも
私が沖田を好きって言ったこと…?
どちらにせよ、この真実を知るのが怖くなった私はただ立ち尽くすことしか出来なかった